• すっきり起きるための「朝の小さな行動」を、睡眠医学を専門とする西多昌規さんに教わりました。ひとつを習慣にするだけでも効果が期待できます。毎日の自分の生活に、取り入れやすいものから始めてみませんか。今回紹介するのは、水や音などの刺激で、自律神経を整える行動です。
    (『天然生活』2020年5月号掲載)

    熱めのシャワーを浴びる

    画像: 熱めのシャワーを浴びる

    自律神経を適切な状態に整えることも、眠りや目覚めにおいて大切なポイント。すっきりとした目覚めに必要なのは、体にアクセルを入れる交感神経の活性化です。

    熱めのシャワーを浴びると交感神経が刺激されるので、目覚めにはとても効果的。ただし、注意点がひとつ。急激な温度変化を与えると、人によっては「ヒートショック」のリスクが出てきます。血圧の変動で脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまうのです。

    これを避けるためには、シャワーの温度を徐々に上げていく、部屋も暖めておくなどの対策を。また、シャワーの最後に足首やふくらはぎに冷たい水をかけるのも、ヒートショックを避けると同時に、血行をよくする点でもメリットがあります。

    冷たい水で顔を洗う

    画像: 冷たい水で顔を洗う

    朝にシャワーを浴びるのは難しい……という人も多いかもしれません。その場合、冷たい水で顔を洗うだけでも、シャワーを浴びるのと同様の効果が得られます。冷たい水によって温度変化が感じられるため、交感神経が刺激されるのです。

    美容面で考えると、いきなり冷水で顔を洗ってしまうと、毛穴が開ききらずに汚れが落とせない可能性がありますから、最初はぬるま湯で洗顔し、仕上げに冷水で刺激するのがベストな方法。毛穴も引き締まり、美容面でも一石二鳥といえそうです。

    洗顔だとその後のお手入れも含めて時間がかかると感じるならば、起きてすぐに冷水で手を洗うのも、末端への刺激になります。

    コップ1杯の水を飲む

    画像: コップ1杯の水を飲む

    朝、起きたばかりの胃腸は、まだ眠っているような状態。前夜から10時間ぐらい活動していないので、目覚めをうながすためにコップ1杯の水を飲みましょう。冷たい水が苦手な人は、白湯でもかまいませんが、それ以外の飲み物では意味が変わってきます。

    ジュースだと糖分、お茶やコーヒーだとカフェインをいきなり摂取することになるので、胃腸の準備運動には純粋な水が一番なのです。

    また、一日の初めに水をとることは、目覚めの効果だけでなく、睡眠中に汗をかくことで失った水分を補給するメリットもあります。水分を失った血液がどろどろ状態になっていたり、脳を含む全身の臓器の血流が悪くなっていたりするのを解消できます。

    テレビやラジオをつける

    画像: テレビやラジオをつける

    「音」を聞くことは、脳にほどよい刺激を与えるため、脳の準備運動になります。

    実は音の刺激は、光の刺激ほど強くありません。交感神経は刺激するものの、覚醒効果はあまりないのですが、「音」を習慣にすることで目覚めの号令代わりになりやすいのは大きなメリットです。

    ラジオやテレビは、毎朝同じ番組をつけることで、時間の感覚もつかめるようになりますし、好きな音楽を流すのも、気持ちのよい目覚めにつながります。

    余談ですが、目覚まし時計の音にも光ほどの覚醒効果はないため、「目覚ましが鳴っても止めてまた寝る」というのは、起こりやすい現象。だからこそ、プラスアルファの行動が目覚めのためには必要なのです。

     
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    〈監修/西多昌規 取材・文/石川理恵 イラスト/北村 人〉

    西多昌規(にしだ・まさき)

    精神科医、早稲田大学准教授。睡眠障害などの診療にあたるほか、産業医としてメンタルヘルスにも関わる。『リモート疲れとストレスを癒す「休む技術」 』(大和書房)など著書多数。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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