(『天然生活』2020年5月号掲載)
朝の簡単な実践で、気持ちよい目覚めを
生活リズムが朝型なのか、夜型なのかは、生まれつきの体質によるもの。朝が苦手な人は、早起きができる人をうらやましく思うかもしれませんが、「人と比べるものではないんです」と、睡眠の専門家である西多昌規さんはいいます。
また、睡眠時間が長ければ眠りの質がいいわけでもなく、年齢によっても睡眠パターンは変わってくるそうです。
そこで今回は、夜の眠りにつくタイミングや睡眠時間などを変えることなく、朝の簡単な実践で、気持ちよい目覚めをうながす方法を伺いました。そもそも朝起きるのがつらいのは、人の体や脳の仕組みからいって当たり前のことなのだとか。
「人間の体内時計は24時間よりも少し長いので、脳は毎朝、時差ぼけを起こしている状態です。さらに脳には睡眠惰性という、寝つづけようとする習性があります。その惰性が長引くと、ボーッとして目覚めが悪くなります」
すっきり起きるためには、体内時計をリセットすることや、睡眠惰性から解放されるような刺激を与えることが効果的。
「起きられない」とくよくよしたり、「がんばらなくちゃ」と無理をしたりするのではなく、「理屈に合わせてちょっとした行動を変える」ことのほうが有意義だというのが、西多さんの考えです。
毎日の習慣にすることが大切なので、紹介する方法をすべて実践するのではなく、自分の暮らしに合うものから選んでいきましょう。
カーテンを開ける
体内時計のリズムを整えるために一番効果的なのは、強い光をいっぱいに浴びること。なかでも太陽の光は、灯りがついた室内に比べて50~100倍の明るさがあります。
起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。脳の視床下部が光を感知し、体内時計がリセットされて、すっきりと起きられるようになります。日当たりの悪い部屋に住んでいる人は、カーテンを開ける代わりに市販の目覚まし用ライトなどを利用しても。
室内より外が寒いような時季には、同時に窓を開けて空気を入れ換えるのもおすすめです。低い温度の外気に触れることで肌が刺激を受け、気持ちのよい目覚めにつながります。
〈監修/西多昌規 取材・文/石川理恵 イラスト/北村 人〉
西多昌規(にしだ・まさき)
精神科医、早稲田大学准教授。睡眠障害などの診療にあたるほか、産業医としてメンタルヘルスにも関わる。『リモート疲れとストレスを癒す「休む技術」 』(大和書房)など著書多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです