ロバの暮らしと四季 ー秋ー
プラテーラ(母)とダルボン(父)の間にロッサ(子)が産まれ、ロバ3頭の家族の暮らしが始まりました。
10月4日に生まれたロッサ君はプラテーラのお乳をたっぷり飲んで、草もしっかり食べるようになり、ぐんぐん大きくなっていきます。
小高い丘の斜面に暮らすロバの敷地内には様々な季節の表情、恵みがあります。栗、どんぐり、柿、さつまいも(芋づる)、稲穂……味覚の秋にはごちそうがたくさん。
ロバたちは、おなかにたまるものを蓄えて冬に備えます。なかでも柿は大好物。ロッサは初めて柿をもらい、おいしさを知ってしまいました。
青い草はどんどん減っていき、丘の色も次第に緑から黄色、茶色へ……風は冷たいけれど、暖かな日差しを身体いっぱいに浴びて、寒い冬を凌ぐロバさんたち。
野の草が少ない冬は、私の父が町中を回ってかき集める草が貴重な食料になります。
夕方にはランニングをし、ロッサとダルボンは日が暮れるまでプロレスごっこ。プラテーラママはちょっと呆れています。
ロバの暮らしと四季 ー春ー
待ちに待った春がやってきました。朝になると、なぜかロバさんたちは竹やぶにこもっています。
それは、大好物のたけのこがあるからです。たけのこがちょっとでも顔をのぞかせたら、頑丈な歯で引っ張ってボリボリボリ、いい音を立てて満足そうな顔で食べます。
小さなロッサはまだうまくたけのこ堀りができないので、なんとなく親のそばで遊んでいます。
たけのこのほかにも、春は柔らかくて青い草の新芽がたくさん。ロバさん達は大好物なものに囲まれ、お腹いっぱいに満たされます。
朝ごはんのあとは幸せのお昼寝タイム。春の陽気にうとうと、じーっとして動かない時はたいていこくっこくっと居眠りをしてます。そのうち立ち寝に耐えられなくなると、バタッと横になります。
寝息まで聞こえてくるほど熟睡することも。ロバの家族は、この丘ですっかり安心しきっているのです。
そして、暖かくなると近所のこどもたちがロバの家族に会いにやってきます。
「ロッサ」の名前の由来となった「ROSA(バラ)」も満開になり、春の牧場はとても賑やかになるのでした。
田頭真理子(たがしら・まりこ)
広島県尾道市出身。高校卒業後、写真家立木義浩氏と出会い写真家を志す。客船「飛鳥」船上カメラマンを経て、2005年キヤノンギャラリーにて初の個展「mobile sense」開催。その後フリーランスフォトグラファーとして活動を開始。2012年より尾道の実家で家族がロバを飼い始め、ロバと家族の暮らしを撮り始める。現在は、尾道と東京を行き来する2拠点で活動中。
https://marikotagashira.com/