私の“好き”なもの、民芸品
しまい込まずに、飾ったり、使ったり
パンやお菓子の教室・販売などを行うスパロウ圭子さんと、切り絵作家のYUYAさん夫妻が共通で好きなものは、民芸品です。
「民芸を定義するのは難しいのですが、私たちは人の手の温かみを感じるものや、その土地ならではのものをゆるやかに民芸品と呼んでいます」(圭子さん)
10年ほど前、何気なく入った店で、鳥取の窯元の器を手に取ったことがきっかけでした。
「それまでは民芸っていうと、修学旅行のお土産のようなイメージでしたが、そこで目にした器はすごくしゃれていて、驚いたんです」(YUYAさん)
その年の夏休みには、鳥取の窯元をめぐる旅に出ました。アポイントを取り、陶芸家たちと交流を深めたことで、ますます惚れ込みました。
「こういうケーキをつくったら合いそうと器から新メニューを考えたり、料理によっていろいろ組み合わせたり。器は使う楽しみがありますね」(圭子さん)
それまで使っていた器が、旅先や展示会で買い求めた民芸の器に入れ替わったころ、郷土玩具に興味が広がりました。
「ある陶芸家さんのご自宅を訪ねた際、西洋の人形とか古いものが飾ってあって、素敵だなと思ったんです」(YUYAさん)
自宅兼アトリエでは、備え付けの棚や自作の棚に、さまざまな国や地域から集まってきた郷土玩具が所狭しと並んでいます。
1階は来客があるため、かわいいものを、仕事場の2階にはそのときどきでお気に入りのものを陳列。夫婦でくつろぐことが多いロフトは、時代の古いものや個性的なものを飾っているそう。
「感覚的に気持ちがよく、隣同士で仲良くなれそうな雰囲気のレイアウトにしています。新しいものを買ったら並べ替えますが、だんだんスペースがなくなってきました」(YUYAさん)
民芸品は国や地域が違ってもどこか似通っていて、自然素材でできているからか、どう並べても比較的なじみやすいそう。
「大切なものもしまい込まずに、使いながら慈しみながら、日々の暮らしのなかで民芸品を楽しんでいきたいですね」(圭子さん)
お気に入りの“好き“なもの
表情豊かな皿
信楽で作陶する山田洋次さんの七寸皿。
「模様が繊細で、素朴な焼き菓子に合います」(圭子さん)
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〈撮影/中垣美沙 取材・文/長谷川未緒〉
スパロウ圭子/YUYA(すぱろう・けいこ/ゆうや)
食のアトリエ・スパロウ主宰/切り絵作家。ふたりの自宅兼アトリエの「アトリエ・フォーク」を営業中。
http://atelier-folk.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです