なるべくごみを増やさず、ごみをごみにしないために、できることはたくさんあります。日常のなかで心がけられること、変えていけることを、アカゲラブックスの加藤翼さんに聞きました。
(『天然生活』2021年2月号掲載)
(『天然生活』2021年2月号掲載)
加藤翼(かとう・つばさ)
鳥取県智頭町の林業会社皐月屋で林業作業員として働くかたわら、店舗を持たない書店・アカゲラブックスとして活動を始める。智頭町や県内外でのイベント出店、オンラインショップ運営のほか、選書サービスも。
アカゲラブックス 加藤翼さん
本は所有して体験を深める
2年前、林業に従事しながら、副業で移動本屋を始めました。販売しているのは、すべて自分で読んでよいと思った本です。
僕自身は紙の本が好きで、基本的に欲しい本は全部買います。そして処分するつもりがないので、「ごみ」になることがない(笑)。この人にこの本を薦めたいなと思い立ったとき、自分の手元から貸せるのがいいなと思うのです。
人と人をつなぐ媒介となれるのも、紙の本の魅力だと思っています。
先日、『土と内臓』という本を課題図書として、全14回のスローリーディングの会をオンラインで開きました。
各々が印象的な言葉を抜き出したり、1章を要約したり、内容に関連する本をシェアしたりするのですが、同じくだりでも抜き出した理由が違っていたり、個々の価値観が立ち表れてきたりする面白い体験でした。
あの体験の深さも、300ページ超の手触りとどっしり感を皆で共有していたからこその、ものとしての本の可能性だったと僕は思います。
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〈構成・文/保田さえ子〉
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです