• どこまでも続く雪原、分厚い氷、愛らしいペンギンたち。そんな大自然が広がる南極に、南極観測隊が毎年派遣されているのはご存知の方も多いでしょう。でも、南極観測隊と聞いても、自分の生活とはかけ離れたものと思っていませんか? しかし実は、私たちの暮らしに直結する観測をたくさん行ってくれているのです。そこで、フジテレビが同行取材を行った、第64次観測隊に参加している名古屋大学の栗田直幸先生に、素朴な疑問をぶつけてみました。(タイトル写真提供/フジテレビ)

    Q3 南極海では、ペンギンやアザラシなどの海洋動物をよく見かけるそうですが、南極海の生態系について教えてください。

    海氷域を「しらせ」が航行していると、船の周囲にたくさんのペンギンやアザラシを見ることができます。海洋の生態系に詳しい研究者に聞いたところ、南極の海には「ナンキョクオキアミ」と呼ばれる動物プランクトンが大量に生息しており、このオキアミの群れをねらってペンギンやアザラシなど海洋動物が集まってくるそうです。

    ナンキョクオキアミは、海氷の下に付着した「アイスアルジー」と呼ばれる藻類を餌としており、地球温暖化による海氷面積の減少によって、オキアミの生物量が減少したという報告もあるそうです。オキアミの生物量の変化を通じて南極の海洋動物にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念されているそうです。

    画像: アデリーペンギンのコロニー(写真提供/フジテレビ)

    アデリーペンギンのコロニー(写真提供/フジテレビ)

    Q4 今回の観測の目的はなんでしょか?

    今回は、南極の氷から昔の太陽活動を解明する研究を行うために南極観測隊に参加しました。太陽活動の監視は1950年代から始まったのですが、それ以前は観測データがありません。そこで、南極の氷から過去の太陽活動を復元することを目指しています。

    南極の上空には、「宇宙線」という宇宙空間を飛び交う放射線が降りそそぎます。この放射線が空気とぶつかると、「ベリリウム」という化学物質が生成され、雪とともに南極の地表面に落ちてきます。

    太陽の表面では、太陽フレア、コロナ質量放出と呼ばれる爆発現象が繰り返し起こります。この際、大量の宇宙線が宇宙空間に放出され、その一部が地球に降り注ぎ、ベリリウムが生成されます。南極では、雪が地層のように積み重なっていますから、過去の雪に含まれるベリリウムから過去の太陽活動を復元できると考えています。

    人工衛星による宇宙利用が身近になった現在、太陽活動の変調は、Q2で説明したように、我々の生活に大きな影響を及ぼします。しかしながら、太陽活動の観測は歴史が浅く、その変動周期や規模については不明なままです。巨大な地震が100年とか1000年スケールで発生するように、太陽活動にもそのような長周期の変動があると考えられています。過去の太陽活動を知ることは、将来起こる大規模な太陽活動の変調に備えることといえます。

    画像: Q11 実際に南極に到着して感じたこと、観測を行って感じたことはなんですか?

    栗田直幸(くりた・なおゆき)
    名古屋大学・宇宙地球環境研究所准教授。専門は、地球惑星科学(地球化学、気象・気候学)。これまでにシベリアやチベット、赤道インド洋など世界各地で、観測活動を実施。第60次、第64次南極地域観測隊に参加。(写真提供/フジテレビ)

    <監修/国立極地研究所 取材・文/編集部 取材協力/フジテレビ>



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