• どこまでも続く雪原、分厚い氷、愛らしいペンギンたち。そんな大自然が広がる南極に、南極観測隊が毎年派遣されているのはご存知の方も多いでしょう。でも、南極観測隊と聞いても、自分の生活とはかけ離れたものと思っていませんか? しかし実は、私たちの暮らしに直結する観測をたくさん行ってくれているのです。そこで、フジテレビが同行取材を行った、第64次観測隊に参加している名古屋大学の栗田直幸先生に、素朴な疑問をぶつけてみました。(タイトル写真提供/フジテレビ)

    Q9 観測チームには大学院生の方が参加されていますが、参加するにあたり選抜試験などはあるのでしょうか?

    試験はありません。ただ、長期間にわたって野外生活をしますから、そういった経験があり、環境に適応できることが望ましいです。南極観測隊員と話をすると、登山経験者が多く、山が好きな方が多いようです。

    今回、参加してくれる大学院性は2名いますが、ひとりは女性です。その方は、幼少期よりボーイスカウトに参加して野外活動のスキルを磨き、日本代表として世界大会に派遣された経験もあります。また、南極観測に参加したいという強い意志を持っておられたので、観測隊員として参加してもらうことになりました。

    志望動機を本人に聞くと、「簡単には行けない南極の地に、以前から憧れを抱いていたんです。人間活動の影響が少ない南極の自然環境を、実際に自分の目で見て、肌で感じたいと思い志望しました」と話してくれました。

    Q10 南極観測というとロマンを感じますが、南極にどんな想いをお持ちですか?

    南極は、事故で他界した恩師が訪れてみたいと話していた場所でしたので、いつかは行ってみたいと思っていました。しかし、南極は、「いつでも気軽に行けない場所」であり、自分とは縁のない場所でした。転機となったのは、大学時代にお世話になった先生から「しらせ」を使った海洋観測に誘われたことでした。そのときは自分は乗船していませんが、所有する自動観測装置を「しらせ」に搭載し、観測隊が乗船する豪州から南極までの航路での海洋観測を始めました。その後も、所有する装置は毎年南極に出かけるようになりましたが、自分が南極観測に参加できたのは5年後のことでした。

    南極の四季は日本と真逆になるため、南極観測夏隊は、紅葉が見ごろを迎える11月中旬に日本を立ち、帰国は翌年の3月になります。これは公私共に多忙となる時期と重なります。さらに、南極観測隊に参加する機会は毎年は巡って来ません。こうした事情から、南極観測に参加するまで長い歳月を費やしました。南極観測に参加できることが決まったときは、念願がかなったうれしさもありましたが、ついに行けると安堵しました。

    画像: 南極内陸部の風景(写真提供/フジテレビ)

    南極内陸部の風景(写真提供/フジテレビ)

    画像: Q11 実際に南極に到着して感じたこと、観測を行って感じたことはなんですか?

    栗田直幸(くりた・なおゆき)
    名古屋大学・宇宙地球環境研究所准教授。専門は、地球惑星科学(地球化学、気象・気候学)。これまでにシベリアやチベット、赤道インド洋など世界各地で、観測活動を実施。第60次、第64次南極地域観測隊に参加。(写真提供/フジテレビ)

    <監修/国立極地研究所 取材・文/編集部 取材協力/フジテレビ>



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