• 栃木に暮らす医師・本間真二郎先生は、「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師です。そんな本間先生の腸内環境を整える発酵生活と、みそづくりについて教えていただきました。
    (『病気を遠ざける暮らし方』より)

    発酵食品の菌が、腸内環境を整える

    みそ、しょうゆ、納豆などの発酵食品は、昔から日本人の健康を支えてきました。発酵食品がからだにいい理由のなかで、もっとも重要なことは、私たちの健康に大きな影響を与える「腸」にいいものだということにあります。

    腸内には、腸内細菌が1000種類以上、総数にして100兆個以上いるといわれています。それらは、私たちが健康に生きていくための多くの役割を担っています。

    腸内細菌の状態がいいというのは、次のふたつの状態をいいます。

    ひとつ目は、腸内にできるだけ多種類の腸内細菌がいることです。それぞれの細菌の働きが異なりますので、まずは善悪関係なく、菌の種類が多いほうが人のできないことも含めてたくさんの働きをします。

    ふたつ目は、善玉菌が悪玉菌より優位な状態で、悪玉菌の働きも利用しながら腸全体を善玉菌が統括している、いわゆる発酵している状態であることになります。

    最近の食生活は、食べものから得られる菌が極端に少なくなっています。本来の発酵食品は菌が多く含まれており、食べることで腸内細菌の種類が増えます。

    また、たとえ発酵の過程で菌が死んでしまっていても、菌がつくったものが人や腸内細菌の役に立つので、腸内環境が整えられていくのです。

    わが家のみそづくり

    画像: わが家のみそづくり

    みそ、しょうゆなどの調味料も、すべて手づくりできます。私は、種麴づくりから米麴づくりまでやっていますが、手間はやはりかかります。はじめての手づくりなら、みそづくりから始めるのがよいでしょう。

    みそづくりに必要な米麴は市販されているものも多いので、まずはそこからトライするのもよいと思います。そして、もしうまくできなかったとしても、その失敗を生かせば次の年にはおいしくつくれます。

    わが家では、軒下にみそ樽が並びます。季節の移り変わりとともに、生きた微生物たちがじっくりと熟成を進めているのです。

    毎日必ず、みそ汁として食卓に上がるので、大量につくってもどんどん消費していきます。おいしいのはもちろん、発酵をうながす菌たちの力が、家族の健康を守ってくれているのです。

    また、多種多様な菌を取り入れることは、腸内環境によい影響を与えます。仲間うちで、みその交換や合わせみそを楽しむのもいいでしょう。

    画像: 熟成は木のみそ樽で

    熟成は木のみそ樽で

    手づくりみそ

    材料(仕上がりのみそ4〜5kg分)

    ● 大豆1kg
    ● 米麴(玄米、分づき米、白米など好みの米でつくったもの)1.5kg
    ● 塩(天日干しの海塩)500g

    ※「分づき」とは、玄米を精米する割合です。10分づきが白米で、玄米からのつき(精米)が浅いほうから、3分づき米、5分づき米、7分づき米などと呼ばれます。数字が小さいほど玄米に近くなります。

    必要な道具

    大鍋、ざる、ボウル、しゃもじ、10L樽、重石、ガーゼ

    つくり方

     大豆をよく洗い、ひと晩たっぷりの水(分量外)に浸ける。

     水にひと晩浸けた大豆を大鍋で煮る。大豆は親指と小指でつまみ、つぶれるくらいのやわらかさまで煮るのが目安。

    画像: 水に浸けた大豆を煮る

    水に浸けた大豆を煮る

     煮上がった大豆はざるに上げ、手でつぶす。ゆで汁をボウル1杯分くらいとっておく。

    画像: 煮た大豆をつぶす

    煮た大豆をつぶす

     最後にふる塩を適量とっておいてから、米麴に塩を加え、しゃもじでよくかき混ぜ、「塩切り麴」にする。

    画像: 塩切り麴を用意する

    塩切り麴を用意する

     つぶした大豆の塩切り麴を加え、よくかき混ぜる。

    画像: 大豆と麴をかき混ぜる

    大豆と麴をかき混ぜる

     大豆と塩切り麴を混ぜ合わせたものを野球ボールくらいの大きさに丸め、空気を抜くように上から投げて樽に詰める。このとき、かたすぎてポロポロとまとまらないようなら、でとっておいた大豆のゆで汁を、少し加えてかたさを調整する。

    画像: 大豆と麴を丸める

    大豆と麴を丸める

     丸めた大豆と麴を合わせたものをすべて詰め終わったら、表面を平らにならし、でとっておいた塩をふって、ガーゼをかける(最後に酒粕でふたをするのもおすすめ)。

    画像: みそ樽に詰めならす

    みそ樽に詰めならす

     ふたをして、仕込んだ量の15%ほどの重さの重石をのせ、室外で9〜10か月ほど熟成させる。重石は、仕上がり4kgなら600g、仕上がり5kgなら750gほど。

    ※わが家では、木樽で仕込んでいますが、ホーロー製容器、プラスチック製容器でも可能です。

    本記事は『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)からの抜粋です

    〈撮影/成田いつか〉



    本間真二郎(ほんま・しんじろう)

    医師。那須烏山市国民健康保険七合診療所所長。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。那須烏山市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。主な著書に『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫』(講談社ビーシー/講談社)、『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー/講談社)など。最新著書『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)が発売中。

    ◇ ◇ ◇

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)|amazon.co.jp

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)|amazon.co.jp

    amazonで見る

    「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師・本間真二郎先生。2023年春、「できる限り、人まかせにしない暮らし方」を追求し、食べ物、水、電気なども自給する新たな暮らしを始めました。

    「どのような生活が自然に沿っているかは、腸内細菌や微生物によいかどうか、これらにダメージを与えないかどうかで判断すればいいのです」という本間先生。麹づくり、みそづくりから、毎日食べているものまで、腸内細菌を元気にするレシピとともに、きょうから少しでも自然に近づくための1冊ができました。



    This article is a sponsored article by
    ''.