(『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』より)
大切なじゃがいものつくり方
じゃがいもにころもをつけて揚げ、スープで煮込み、ボリューム感のある一品に仕上げる伝統的なレシピ。
玉ねぎやにんにくを炒めて加えたりするほか、バスク地方ゲルニカの聖クララ修道院では、トマトを加えてつくることもあるそうです。
ベーコンやチョリソーを入れればメイン料理にもなる、じゃがいもの底力がしっかり感じられる料理です。
材料(4人分)
● じゃがいも(1cm幅の輪切り) | 2個(300g) |
● 卵 | 1個 |
● チキンスープ | 1カップ |
● オリーブ油 | 大さじ6 |
● 小麦粉、塩、イタリアンパセリ(みじん切り) | 各適量 |
つくり方
1 じゃがいもは小麦粉をまぶし、溶いた卵をからめ、オリーブ油を熱したフライパンで中火で両面をこんがり揚げ焼きにする。
2 鍋にチキンスープを入れて火にかけ、温まったら塩で味を調え、1をそっと加え、煮立ったらふたをしないで弱火で15分煮る。器に盛り、イタリアンパセリを散らす。
修道院の野菜の煮込みについて
修道院の庭では季節を知らせる野菜が育てられていて、それらを上手に活用しつつ、栄養バランスのいい料理を日々心がけているシスターたち。煮込み料理にも、旬の味の濃い野菜をうまく使っています。
そんな話を善き羊飼いの修道院のシスターたちと交わしていた時に、「スペインの煮込み料理は、野菜を煮込みすぎよね」とのご意見が……。
確かに、くたくたの野菜もそれはそれでおいしいのですが、本来の野菜の味を楽しむのなら、それぞれの野菜を時間差で煮ていくのがいいとシスターたち。野菜の煮込みをおいしくつくるコツは、そのあたりの頃合いが大切かもしれません。
本記事は『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』(主婦と生活社)からの抜粋です
〈撮影/馬場わかな、丸山久美(現地写真)〉
丸山久美(まるやま・くみ)
スペイン家庭料理研究家。アメリカ留学後、ツアーコンダクターとして世界各地をまわり、マドリッドに14年在住。現地の料理教室に通いながら家庭料理をベースとしたスペイン料理を習得し、修道院をめぐって修道女たちから料理を学ぶ。帰国後は、テレビや雑誌などでスペイン料理を軸にした料理を提案。2006 年から東京・杉並区の自宅でスペイン家庭料理教室「mi mesa」主宰。著書に『バスクの修道女 日々の献立』(グラフィック社)、『修道院のお菓子』(扶桑社)など。2023年10月に『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』(主婦と生活社)を発売。
webサイト:https://k-maruyama.com
インスタグラム:@maruyama_kumi
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スペイン家庭料理研究家・丸山久美さんが、スペインバスクおよび北部の修道院を訪ねて修道女から教わったレシピと、文献からのレシピをまとめた1冊。煮込み料理を中心とした1皿目、2皿目、デザートの献立形式での提案と、単品の煮込み料理を数多くご紹介しています。このほか、修道院の一日の過ごし方や、修道院の台所や食堂、器についての解説と、現地で撮影した写真もたっぷり掲載しています。