(『天然生活』2022年1月号別冊付録掲載)
三つ肴①
「黒豆」のつくり方
「まめに働く」というとおり、「まめ」には、忠実、達者、誠実などの意味があります。
材料(つくりやすい分量)
● 黒豆 | 300g |
● 上白糖 | 1/2カップ+1/3カップ |
● 酒 | 1/2カップ |
● 薄口しょうゆ | 大さじ1と1/2〜2 |
つくり方
1 黒豆を下ゆでする。直径20〜24cm、深さ15cm以上の土鍋、または鋳物ホウロウ鍋に八分目まで水を入れ、ぼこぼこと完全に沸かす。黒豆を洗わずに一度に加え、豆が少し踊るくらいの火加減に保つ。渋が浮いてきたらすくい、そのつど同量の水を加えて水位を一定に保ち、30分ほどゆでる。
ゆで上がりの目安は、ほどよい歯ごたえが残り、十分に豆の風味が出て、自然の甘味を感じられるくらい。火を止め、ふたをしたまま冷ます。冷めたら、皮が破れないように豆を手ですくい、煮汁と分ける。
2 直径24cm程度の浅型の土鍋に1のゆで汁を入れ、火にかけて約700mLに煮つめる。1の黒豆4カップを加え、上白糖カップと酒を加え、厚手のペーパータオルを二重にして紙ぶたをし、ふつふつと沸くくらいの弱火で20分、煮ふくめる。火を止め、紙ぶたをしたまま、ひと晩おく(以後、3の工程でも紙ぶたはしたまま)。
3 翌日、弱火にかけて常温程度に温め、上白糖カップを加え、弱火で15分ほど煮る。薄口しょうゆを加え、さらに15分ほど煮て火を止める。粗熱が取れたら冷蔵庫でひと晩おくと、より味が入る。
三つ肴②
「ごまめ」のつくり方
小さな片口鰯の煮干しでつくる祝い肴。田畑の肥料に由来する、豊作祈願の一品です。
材料(2人分)
● ごまめ | 85g |
● にんにく(みじん切り) | 小さじ1 |
● 豆板醬 | 小さじ1 |
● 米酢 | 大さじ2 |
● 濃口しょうゆ | 大さじ2 |
● ごま油 | 大さじ1 |
● 白炒りごま | 適量 |
つくり方
1 ごまめは腹ワタを除く。
2 豆板醬と米酢を混ぜ合わせる。
3 フライパンにごま油とにんにくを入れ、中火にかける。風味が立ったら1を入れて炒め、2を加え、汁けをとばすように炒める。仕上げに濃口しょうゆをまわしかけてさっと炒め、ペーパータオルの上に広げて粗熱を取る。
4 器に盛り、白ごまをふる。
三つ肴③
「かずのこ」のつくり方
子宝と子孫繁栄を祈る、祝い肴です。包丁を使うと生ぐさくなるので、手でちぎります。
材料(2人分)
● 塩かずのこ | 2本 |
● 薄い塩水 | 適量 |
● A | |
・ 濃いめのだし汁 | 1カップ |
・ 酒 | 大さじ2 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● 薄口しょうゆ | 大さじ1 |
● まぐろ糸削り | 適量 |
つくり方
1 塩かずのこは薄い塩水につけ、塩水を替えながら2〜3日かけて塩を抜く。
2 塩抜き後、薄皮をペーパータオルなどでこすりながら除き、ひと口大に手でちぎる。
3 Aを煮立てて塩を加え、火を止めてから薄口しょうゆを加える。粗熱を取ったのち、2をひと晩以上漬ける。
4 器にかずのこと漬け汁を盛り、糸削りをあしらう。
<撮影/公文美和 文/美濃越かおる>
松田美智子(まつだ・みちこ)
料理研究家。日本料理をベースにした家庭料理教室を主宰。著書に『家庭料理は郷土料理から始まります。』(平凡社)、『季節の仕事』(扶桑社)など多数。インスタグラム:@michiko_matsuda
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです