• 北欧の人たちは、夜が長く凍てつく冬をどんなふうに楽しんでいるのでしょうか。10年以上フィンランドに通い続け、2022年に長年の夢だった移住を叶えた、週末北欧部のchikaさんにフィンランドの冬の暮らしをお聞きしました。
    (『天然生活』2022年12月号掲載)
    画像1: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方

    サウナや手仕事を存分に楽しんで、冬を乗り越える

    2022年の春、夢だったフィンランドへの移住をかなえたchikaさん。初めて訪れてから13年も通い、こがれ続けたこの国の魅力は、静けさと距離感にあると語ります。

    「街中でも驚くほど静かで、音の余白が心の余白になることを知りました。首都・ヘルシンキの中心地からすぐそばに森や水辺があり、人々は無関心と尊重の間のような距離でつきあってくれる。人と自然、人と人の距離感がとにかく心地よくて落ち着くんです」

    フィンランドは短い夏が終わり、曇り空や雨が続く「どんよりした秋」に突入。chikaさんは寿司職人としてレストランで働きながら、初めて迎える冬を前に着々と支度を整えています。

    住民専用の共同サウナ付きのアパートに引っ越し、気分が明るくなる「マリメッコ」のインテリアを取り入れて。冬の必需品という毛糸の靴下は、編み物上手の友達の母に色をリクエスト。新居に敷くラグは、フィンランド伝統の手織りを習える教室で手づくりする予定だとか。

    「新しい傘を買うと雨が待ち遠しいといいますが、まさにそんな気分。周りの人たちが『冬は試練だよ』と脅すので覚悟しつつ(笑)、でもワクワクが勝っています」

    さらりと発せられた「試練」や「覚悟」という言葉にフィンランドの冬の厳しさが垣間見えます。日照時間が短く、暗く長い冬は、私たちの想像以上に心に影を落とすよう。人々は、趣味の手仕事に没頭したり、国民的音楽「ヘヴィメタル」で気分を上げたり、さまざまな手立てで気持ちをケアし、冬を乗り越えるといいます。

    「心を整えるために生まれた文化を少しずつ体験したいし、暮らして見える冬の景色や感覚もきっとあるはず。冬が終わったとき何を思うか、それも楽しみですね」

    画像: ある年のクリスマス、百貨店「ストックマン」付近のヘルシンキの様子。「派手なにぎわいはないけれど、静けさのなかに喜びが満ちていてフィンランドらしいです」

    ある年のクリスマス、百貨店「ストックマン」付近のヘルシンキの様子。「派手なにぎわいはないけれど、静けさのなかに喜びが満ちていてフィンランドらしいです」

    フィンランドの冬の楽しみ

    キャンドルを灯す

    画像: ひと冬でキャンドルが形を変えていく様子も楽しみながら使う

    ひと冬でキャンドルが形を変えていく様子も楽しみながら使う

    キャンドル大国のフィンランド。冬は部屋の明かりを暗めにし、複数のキャンドルを灯して照明代わりにします。「炎の揺らぎはいやしにも。長い冬をともに過ごす相棒を探しているところで、デンマークの『HAY』のカラフルなキャンドルを狙っています」

    画像: キャンドルを灯す

    日記を書いて心をいやす

    画像: いただきものの手づくりカバーを付けたノートとお気に入りの万年筆

    いただきものの手づくりカバーを付けたノートとお気に入りの万年筆

    子どものころから続ける日記がいやしというchikaさん。日記はフィンランドでもセラピーで用いられるそう。「友人に教わり『ありがたかったこと』を書くようにしたら悲しいこともプラスに変換できて。視点の持ち方でも心はケアできると学びました」

    画像: 日記を書いて心をいやす

    冬のごちそうを囲む

    画像: 友人お手製のトナカイの煮込み。マッシュポテトとジャムを添えて

    友人お手製のトナカイの煮込み。マッシュポテトとジャムを添えて

    冬は、火やオーブンでじっくり火を入れる料理が定番。なかでもトナカイの煮込みはごちそうです。「トナカイは脂身の少ない牛肉のような味。ビールやスパイスで煮込むので臭みはなく、親しい人とわいわい食べると一層おいしいです」

    画像: 冬のごちそうを囲む

    シナモンロールをつくる

    画像: chikaさんの手づくり。冬はお菓子づくりを楽しむ人が増えるそう

    chikaさんの手づくり。冬はお菓子づくりを楽しむ人が増えるそう

    北欧で愛されるシナモンロール。日本にいたときから、フィンランドの人に教わったレシピでつくっていたそう。「焼いている間、シナモンとカルダモンの香りに包まれて幸せな気持ちに。クリスマスにはプルーンジャムを入れた星形のパイをつくります」

    画像: シナモンロールをつくる

    サウナで温まる

    画像: 友人のコテージにあるサウナ。内装や薪に白樺の木を使っている

    友人のコテージにあるサウナ。内装や薪に白樺の木を使っている

    フィンランドはサウナの本場。日本のお風呂のように子どもから大人まで、年中入るのが習慣です。「アパートのサウナが月20ユーロで入り放題なんです。白樺の枝葉を束ねたヴィヒタ(体を軽くたたいて血行を促す)を用意して、思う存分楽しみたいです」

    画像: サウナで温まる

    サウナ後の体を湖で整える

    画像: 凍った湖を割って入る。老若男女問わずみな平然と飛び込むのだとか

    凍った湖を割って入る。老若男女問わずみな平然と飛び込むのだとか

    サウナのあとは冬でも湖に飛び込むのが本場流。「私は10秒が限界ですが泳ぐ人もいます。やってみると、温まった体が冷やされて外気と一体化したような不思議な感覚に。体がすごく軽くなって息もしやすくなります。これが『整う』ってことなのかなと」



    〈写真/chika 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉

    chika(ちか)

    画像: サウナ後の体を湖で整える

    フィンランドへの深い愛と夢を追う生き方を綴った『北欧こじらせ日記』(世界文化社)が反響を呼び、実写ドラマも放映された。近著は『北欧こじらせ日記 フィンランド1年生編』(世界文化社)。
    インスタグラム:@cicasca

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    画像2: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方

    軽くてあたたか。ウール100%のミニブランケット
    ロロスツイードのブランケット「ミッケルベビー」

    画像3: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方

    アンゴラヤギのモヘヤ をふんだんに使った、ふんわり色鮮やかな大判スローケット
    マルヤッタ・メッツォヴァーラの「ウールモヘヤスローケット」

    画像4: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方

    ウール100%のカバーでクッションのようにも使える湯たんぽ
    ラプアンカンクリの湯たんぽ「ランマス」

    画像5: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方

    家でも、お出かけにも。ポケット付きで便利なウール100%のショール
    ラプアンカンクリのポケットショール「マリア」

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    画像6: 週末北欧部・chikaさんに聞く、フィンランドの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方



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