(『天然生活』2024年2月号掲載)
季節ごとの暮らしの楽しみ
「いとよし」という屋号で、日本の年中行事を探求し、それをワークショップなどで広める活動をしている尾﨑美香さん。かつては大企業に勤め、大人数、大きな予算の仕事に追われる生活をしていましたが、「自分の手の届く範囲のことに関わっていきたい」と、この活動を始めました。
「お正月のお年玉、節分に食べる豆、春のお彼岸。私たちが何気なく暮らしに取り入れている日本の年中行事。それらの意味を調べると、昔の人が込めた思いを知ることができて面白い。それは、日本のルーツをたどる旅のようなのです」と話します。
昨日今日明日が連なり、ただ過ぎていくように感じる日々に、句読点を打ち、節目を感じる役目をするのが季節の行事。
新しい1年の始まり、季節ごとの暮らしの楽しみをいとよしさんに教えてもらいました。めぐる季節をじっくり味わってみませんか?
12月|師走
1年を振り返り、来年の発展を願うとき
冬至のしつらい
1年で最も夜が長く、太陽の力が弱まるとされる冬至。
「ん」のふたつ付くものを集めるのが「運盛り」というしつらいです。南瓜(かぼちゃ)、れんこん、いんげん、にんじん、ぎんなん、金柑、南蛮(唐辛子)など7種を盛るのが基本。
冬至は「一陽来復」ともいいます。
しめ飾り
正月、神さまには初詣でごあいさつする感覚かもしれませんが、お正月の年神さまは家にやってくる神さま。
そのために家を大掃除して整え、「準備が整いました」という印としてしめ飾りをしたのです。さまざまな形があり、それぞれに意味が込もっています。
餅花づくり
花のない時季に稲の花に見立てたといわれる餅花。いまはお正月飾りとしても人気です。
パックのお餅を使えば簡単。水につけレンジでやわらかくして、小さく丸めて行李柳(弾力性のある柳の枝)に付けます。
食紅を少し混ぜて赤いお餅をつくり、紅白にするとより華やかに。
※ 「いとよしさんに聞く、春夏秋冬 暮らしの行事ごよみ」は、『天然生活』2024年2月号、P.28~33に掲載されています
<監修/尾﨑美香(いとよし) イラスト/赤池佳江子 取材・文/鈴木麻子>
尾﨑美香(おざき・みか)
大手化粧品メーカー退社後に「室礼三千」で年中行事を学び、「いとよし」を立ち上げる。初の著書『季節の行事と いまどきのしつらい手帖』(エクスナレッジ)を2024年2月に出版予定。
https://ito-yoshi.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです