年齢を重ねたからこそ、変わっていくことが必要かもしれません。この先をさらに楽しく生きるための、暮らしの変化をご紹介します。歳を重ねて新しく始めた「人づきあい」の習慣について、ウー・ウェンさん、山本浩未さん、多良美智子さん、横山タカ子さん、chizuさんにお話を伺いました。
(別冊天然生活「歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2」より)
歳を重ねて新しく始めた「人づきあい」の習慣
スタイリスト・chizuさん
姉とのふたり暮らしが始まりお互いに機嫌をとりながら
5、6年前から、姉とのふたり暮らしを始めました。お互いに、これまで自分のやり方で暮らしてきた時間がありますから、考え方や価値観が違って当然です。
気になることがあってもすべてを伝えたり相手を否定したりせず、目をつぶってやり過ごすことで、お互いに気持ちよく暮らしていけるんです。
歳もとっていますし、目に見えない不調もあるので、相手の様子や気持ちを想像しながら声をかける大切さも感じています。
料理研究家・ウー・ウェンさん
歳を重ねたからこそ年下の人と仲良く
年々、年下の人たちと仲良くするように。将来、私の面倒をよろしくね、なんて下心があるかどうかはさておき(笑)、若い人たちと話していると、自分の世界が広がってワクワクするんです。
お中元、お歳暮といった形式的な贈りものもやめました。それよりもおいしいもの、素敵なものを見つけたときに、心に浮かんだ人に贈るほうが気持ちが伝わる気がします。
私にとっての人づきあいとは、心の中にその人を想っていることです。
郷土料理研究家・横山タカ子さん
60歳で年賀状は卒業。心と心でつながる人づきあいを
大変だと思っているのに無理をするのはやめました。気乗りしないお誘いも、無理せずていねいにお断りをするように。
年々枚数が増えつづけていた年賀状は60歳で卒業し、どうしてもそこでしかやり取りができない20人ほどに絞りました。ラインでつながっている人には、お正月らしい自分の写真を添えてご挨拶を送ります。
年賀状はやめましたが、常日頃から手紙やハガキを書くことは心がけています。季節の切手や便せんなどをいつも準備しておくと安心です。
ヘア&メイクアップアーチスト・山本浩未さん
いろいろな世界を体感するつもりで自分の枠から飛び出していきたい
これまでは、プライベートでは自分と気の合う人とだけ遊びたいと思っていたんです。でも最近は、人づきあいも多様性の時代。
広く活発につきあいたいと思うようになり、自分の枠のなかだけでなく、若い世代、異業種、さまざまな人が集まる場にも積極的に参加しています。
広く深くつきあうというよりも、いろいろな世界を体感する気持ちです。人生まだまだ先が長いですから、範囲を広げたほうが楽しめそうな気がしています。
Earthおばあちゃんねる・多良美智子さん
深い人づきあいよりもひとりの時間を楽しむ
お中元やお歳暮、年賀状は80歳でやめました。ご近所の人たちとも仲良くやっていますが、旅行に行くような深いおつきあいはしていません。
ひとりの時間が好きなんです。夫が定年を迎えたとき「自分は好きなことをしてきた、これからは君がやりたいことをしてほしい」といってもらい、そこからコーラスや絵手紙など、気になることはどんどん挑戦。
おかげで充実の毎日です。私が楽しくやっていたら、周りも安心してくれるんです。
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<取材・文/藤沢あかり イラスト/松尾ミユキ>
ウー・ウェン(うー・うぇん)
中国・北京出身。ウー・ウェンクッキングサロンを主宰。医食同源に根ざした家庭料理のほか、シンプルで温かな生き方にも注目が。『ウー・ウェンの炒めもの』(高橋書店)など、著書多数。
多良美智子(たら・みちこ)
1934年生まれ。2020年から孫と始めた、日常を紹介するYouTube『Earthおばあちゃんねる』は登録者数14万人を超す。著書は『87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし』(すばる舎)。
chizu(ちず)
1955年生まれ。雑誌や広告でインテリアや食、ジュエリーなどのスタイリングのほか、店舗開発や商品開発も。著書は『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)
山本浩未(やまもと・ひろみ)
ヘア&メイクアップの第一人者として女性誌や広告などでさまざまなテクニックやメソッドを提唱。自身の経験に基づいた、内面からポジティブに輝く人になるための提案も多数。
横山タカ子(よこやま・たかこ)
長野出身・在住。土地の食文化を生かすシンプルなレシピを研究し、伝えている。四季を暮らしに呼び込むしつらいのアイデアや手仕事にも定評が。近著は『私の梅仕事』(扶桑社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです