(『天然生活』2022年11月号掲載)
いまやれることに力を注ぐ
やってみたいと思い立ち、バイクの中型免許を取ったのは、なんと50歳のとき。インドネシア語の勉強では、毎日学ぶことのワクワク感を楽しんでいます。
「習得しきれず、中途半端なまま死ぬかもしれませんが(笑)、やり残したことがあるくらいがちょうどいいと思うんです」
常に何かに興味をもって前へ前へと進んでいくことが生きる活力。だから、“落ち込んでいる暇はない”と伊藤さん。
「つらいことがあったら、原因を考えて対処し、どうしようもなければ、開き直ってしまえばいい。そして、気持ちを切り替えて、いまやれることに力を注ぐ。時間をむだにしたくはないですから」
幸せのマイルール
お茶を飲んだり、本を読んだり
伊藤さんが大事にするのが、自家製茶を飲みながら、ほっとする時間。
「朝は、お茶の香りを楽しみながら、庭をぼーっと眺め、今日やりたいことなど、頭に浮かんだあれこれを整理します」
夕暮れどきには、きれいになった庭を眺めて達成感を味わうのが日課。
「日が暮れたら、お茶を飲みながら、図書館で借りた本を読み始めます。自然や地球など広い世界へ目を向けたり、偉業をなした人の人生から学んだり、これまでに何度もたくさんの本に励まされてきました」
幸せのマイルール
料理を仕込んで並べてだれかをもてなす
人に手料理をごちそうするのが大好き。
「だれかのことを想って料理やお菓子を仕込む時間は、気持ちが穏やかになり、私にとっても至福の時間です」
レモンパイは孫たちが喜ぶので、家族のバースデーパーティーに欠かせない一品。庭のレモンを果汁や実だけでなく皮まで使った得意料理。
鶏の塩釜焼きは、簡単なのに見栄えが豪華でおもてなしにぴったり。
「事前に仕込んでおけるオーブン料理。台所にかかりっきりにならずにすむので来客時におすすめです」
幸せのマイルール
大好きなアクセサリーを身に着ける
洗顔後、毎朝行っているのが今日のアクセサリー選び。
「おしゃれが大好きなので、家でもお気に入りのアクセサリーを着けています。身支度をちゃんとしていると、気持ちにやる気のスイッチが入ります」
ブタのピアスは若いころに旅したメキシコで。アンティークのカメオのブローチは叔母からもらった高級品で、指輪は鎌倉のインディアンジュエリー店で見つけたもの。
好きなものが変わらないので、どれも50年以上使いつづけている思い出深いものばかり。
幸せのマイルール
いくつ歳を重ねても勉強する
伊藤さんの実母は日本人で実父はインドネシア人。実父の国の言葉を学びたいと、4年前からインドネシア語講座に通い始め、毎日、地道に勉強中。
「レベルが高くて私のような初心者はついていくのに必死。でも、それが楽しくて」
庭仕事を終えたあと、お昼を食べたあと、午後にひと息つくときなど合間に宿題をこなし、なんとかついていっているのだとか。
「ちっとも上達しませんが、いま勉強しているということ自体が幸せ、それだけで大満足です」
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<撮影/砂原 文 取材・文/坂口みずき>
伊藤千桃(いとう・ちもも)
1950年ジャカルタ生まれ、1972年度ミス日本、元女優。結婚後、葉山に移り住む。離婚後は「桃花源」の屋号でレストランを営み、地野菜を使った料理で人気に。現在はデリバリーや民泊などを行う。著書は『千桃流・暮らしの知恵』(主婦の友社)。薬草をブレンドした自家製のお茶を冬に販売予定。インスタグラム@toukagenhayama
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです