(『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』より)
病気に負けない体をつくるために知っておきたい、大切なこと
「一物全体(いちぶつぜんたい)」で食べる
食べることは、生きているものの「命」をいただく行為です。「一物全体(いちぶつぜんたい)」とは、生きているものはすべて丸ごとで完全であり、バランスがとれているという考えです。
だから、なるべく米は玄米か分づき米で、小麦粉も全粒粉を。野菜も皮ごといただきます。
「精製した食品は、ミネラルや食物繊維、ビタミンなどの栄養成分が激減してしまいます。また、玄米や野菜の皮はかたいかもしれませんが、よくかむことで、消化にも腸内環境にもいい影響がある。皮をむく、精米するなどの手間も省け、ごみも減るから、生活面でも一石二鳥なのです」
腸内細菌が大切
本間先生が健康づくりの柱に考えているのは「腸内環境」。腸内環境を整えるための秘訣は、味噌、しょうゆ、漬物や納豆など、日本の伝統的な発酵食品を毎日欠かさず食べること。
「腸内細菌の状態がいいというのは、多種多様な細菌がいるということ。そして悪玉菌より善玉菌が優位で、腸全体を善玉菌が統括しているような状態であること。
最近の日本の食生活は、食べ物から得られる菌が極端に減っています。だからこそ、たくさんの菌が含まれている発酵食品を食べてほしいのです。たとえ菌が途中で死んでも、菌が残したものによって、腸内環境は整えられていきます」
口内細菌もすこやかに
腸内環境とともに年々注目度が高まっている口内環境。歯周病や虫歯にならないよう、口内環境を健全に保つには、よくかみ、唾液を出すことが大切です。
「現代は口あたりのいい柔らかな食品が人気ですが、唾液を出すためには、歯ごたえのあるもの、とくに食物繊維を含む食べ物をしっかりよくかむことが大事です。
ひと口30から50回ほどかむと胃腸での消化・吸収がスムーズになり、農薬や添加物など有害物質も分解されます。しかも脳も活性化されるから、子どもには知的発達を促し、お年寄りにはボケ防止に。だれにでもできる健康法です」
理論より実践を
どんなに立派な理想も緻密な理論も、実践しなければ絵に描いた餅と同じ。「実践が何よりも大事」です。
「『都会では自然な暮らしなんて不可能』と嘆くより、ベランダで植物を育てたり、ぬか漬けに挑戦してみたり、できることをまずひとつやってみる。
ひとつ実践すればそれが身につき、さらにやりたいことも増えていき、同じようなことをしている仲間も増えていくと思います。失敗しても、やり直せばいいんです。まずは一歩、何か実践しましょう!」
〈撮影/山田耕司 取材・文/田中のり子〉
※ 本記事は『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』(扶桑社)からの抜粋です。
本間真二郎(ほんま・しんじろう)
1969年北海道生まれ。小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室(NICU)室長に就任。2009年に栃木県へ移住し、那須烏山市の「七合診療所」の所長に。地域医療に従事しながら、妻、2人の子どもとともに、自然に沿った暮らしを実践中。『病気を遠ざける暮らし方 できることから、ひとつずつ。自然に沿ってゆるく生きる』、『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る衣食住50の工夫』(ともに講談社ビーシー)、『自然に沿った子どもの暮らし・体・心のこと大全』(大和書房)ほか著書多数。雑誌『天然生活』の連載や特集での反響も大きく、多くの支持を集めている。
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地域医療に従事しながら、妻、2人の子どもとともに、自然に沿った暮らしをしている、自然派医師の本間真二郎さん。
アメリカでウイルス学、ワクチン学の研究に携わり、帰国後は栃木県へ移住し、那須烏山市の「七合診療所」の所長に。この地で、病気にならない暮らしを実践しています。
その秘訣は、体を温め、その場所の季節の食べ物を食べて、ミネラルをたっぷり摂って、腸内細菌を元気にすることで、免疫力を高めること。大きな病を防ぎ、冷えや気象病などの病気やトラブルを防ぎます。
そんな本間先生の健康についてのアドバイスと、家族との自然に沿った農を楽しむ暮らし、食べ物、お手当方法をまとめました。本間家の定番の自然治癒力を高めてくれる食品やお手当の材料、免疫力をあげる発酵食レシピも必見です。
古くて新しい視点で、現代の疲れた心と体を健やかにしてくれる一冊になりました。