• 手軽に発酵食を取り入れられる、ぬか漬け。食卓にぬか漬けが並ぶとうれしくなります。ぬか漬け名人の暮らし家・塩山奈央さんに、自慢のぬか床とコツを教わりました。
    (『天然生活』2023年6月号掲載)

    手をかけるほど応えてくれる。どこか子育てに似てる気がします

    まめまめしく手を動かすことが得意な塩山奈央さん。ぬか漬けは長年続けていたけれど、本格的に始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけだそう。

    画像: 「ぬか漬けが食卓に並ぶとホッとしますね。ぬか漬けの本をつくる際、友人などのぬか床を食べ比べしたことがあり、こんなにも違うのか! と驚きました」

    「ぬか漬けが食卓に並ぶとホッとしますね。ぬか漬けの本をつくる際、友人などのぬか床を食べ比べしたことがあり、こんなにも違うのか! と驚きました」

    「思うところもあり、自分の体は自分で守らなければいけないと食生活を改めて見直しました。そのひとつがぬか漬けだったんです」

    その後、ぬか漬けについてまとめた『ぬか漬けの教科書』を上梓。ぬか漬けに日々、向かい合った塩山さんならではのハウツーが収められています。

    「家庭によって味がまったく違っていて、とても奥深いんです。私は酸味やにおいは控えめなものが好み。ここ数年は安定して漬けられるようになりました」

    ぬか床の容器は深さがあって混ぜやすいホウロウの鍋を使用。ほどよい温度が保てる冷蔵庫の横が定位置です。

    毎日かき混ぜているのかと思いきや、週に1~2回なのだそう。

    「酸っぱい嫌なにおいがするときはさておき、そうでなければ休ませることも大事です。といっても、ぬか床の状態や住環境、漬けるものによってもさまざまです。正解も不正解もないのがぬか漬けなので、自分や家族の好きな味を見つけられるといいですね」

    そんな塩山さんのぬか漬け、クセがなくてあっさり。ひとつ、またひとつと手が伸びるおいしさです。

    好みは6時間ほどの浅漬け

    昼に食べるなら朝、夜に食べるなら昼と、6時間ほどを逆算して漬けるのが塩山さん流

    「浅漬けなら、そのままたっぷり、サラダ感覚で食べられます」。大根、にんじん、きゅうり、セロリ、みょうが、パプリカのほか、娘さんの大好物だという、さつまいもも。

    塩山さんのぬか漬け

    時間ではなく、切り方を変える

    画像: 時間ではなく、切り方を変える

    6時間で一緒に取り出して食べられるよう、野菜によって大きさを替えたり、塩をふったりするのが塩山さんの漬け方。

    「大根は皮を厚めにむいて半分に切り、皮も漬けて食べます。きゅうりは皮ごとだとえぐみが強いので縞状にむくとちょうどいいと思います」

    オードブルっぽく楽しめる、アボカド

    画像: オードブルっぽく楽しめる、アボカド

    アボカドのぬか漬けは塩山さんの定番。

    「かためのものがいいですね。半分に切って種を除き、ぬかで1cm厚さくらいになるように覆い、そっと上にのせます」

    まったりとした食感が絶妙で、ほかの野菜と一緒に口に入れるとオードブルのようになるのだそう。

    細かくきざんでチャーハンにしても

    画像: 細かくきざんでチャーハンにしても

    そのまま食べるほか、あえて古漬けにして、炒めものやたれなどにもよく活用するという塩山さん。細かくきざんだ古漬けでつくるチャーハンは生の野菜よりもパラっと仕上がり、調味料も最小限。

    「ひき肉を少し入れていますが、ぬか漬けがよいだしになっていますね」

    ぬかが増えたら、魚や肉を漬けてもおいしい

    画像: ぬかが増えたら、魚や肉を漬けてもおいしい

    ぬか床が水っぽくなったら水を抜くのではなく、足しぬかをすることが多いそう。そのため、ぬかが増えたら取り分けて、肉や魚を漬けることも。

    「深みが出て、ただ焼くだけでおいしくなります。漬ける際は冷蔵庫で。3~4回は同じぬかで漬けることができます」

    塩山さんのぬか漬けメモ

    保管場所:常温(冷蔵庫の横)

    容器:野田琺瑯の鍋

    画像: 容器:野田琺瑯の鍋

    工夫:お気に入りのぬかを常備

    画像: 工夫:お気に入りのぬかを常備

    ちょい足しアイテム:ぬかみそからし、干ししいたけ、昆布など

    画像: ちょい足しアイテム:ぬかみそからし、干ししいたけ、昆布など

    * * *



    <写真/山川修一 構成・文/結城 歩>

    塩山奈央(しおやま・なお)
    パタンナーを経て料理や縫い物など、手を動かして日々の生活を紡ぐ「暮らし家」として活動。著書に『ぬか漬けの教科書』(世界文化社)などがある。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.