(『天然生活』2021年8月号掲載)
免疫力を向上させて感染症を予防するハーブ
エキナセア
弱った免疫力を高めてくれるハーブで、昔から感染症予防に用いられている。
風邪やインフルエンザ、花粉症、アレルギー性鼻炎などの症状緩和に。
事前の予防策として摂取するほか、体調が優れないときに疲労回復のために使うなど、幅広い場面で有効なので重宝する。
お手当て方法:飲む
ハーブティー、サプリメントで飲む。毎日飲んでよいが、飲みつづけると耐性がつき効果が薄れる場合がある。感染症予防や症状の出始めから飲むなどメリハリをつけて使用しよう。
ティートゥリー
オーストラリアに自生する抗菌・抗ウイルス効果の高いハーブ。
アボリジニが使っていたといわれるほど、利用されている歴史が長く、香りだけで効果が得られやすいのが特徴。
スーッとしてリフレッシュ効果があり、建物の入り口で精油を焚いて使用している場合も。
お手当て方法:香る
精油で芳香浴をする。ディフューザーを使って焚くか、湯を張った浴槽に精油の入ったバスソルトを入れる、あるいは浴室の洗い場に数滴垂らしてシャワーで湯を当て、気化させて使用。
ユーカリ
ティートゥリー同様、オーストラリアで古くから使われてきたハーブ。
粘膜の炎症を和らげて菌を外に排出させる働きがあるので、抗菌作用のほか、空気を浄化したり、たんを鎮める作用がある。
香りがやさしく刺激も少ないので、気管支が弱い人や子どもが使っても安心。
お手当て方法:香る
ティートゥリーと同様に使えるほか、精油をキャリアオイルで希釈してボディケアにも。気管支のある喉から胸、背中にかけて、リンパの流れに沿って手で塗る。
ハーブのお手当て、まず試したいのは「飲む」こと
ハーブのお手当てには主ニ4つ【飲む・塗る・香る・食べる】のやり方がありますが、まず最初に試したいのは「飲む」こと。とりわけ温かいハーブティーがおすすめだそう。
「消化器系を温めるので、有効成分をしっかり吸収させることができるんです。いまは市販のティーバッグでもさまざまなものが売られているので、香りや効能をチェックして、気になるものから試してみてください。単体の乾燥ハーブを使う場合は、200mLのお湯に小さじ2〜3杯の茶葉でつくること。一煎目のお茶にすべての成分が溶け込んでいるので、日本茶や中国茶のように二煎目、三煎目と飲むのはNGです」
たしかに、ノンカフェインのハーブティーなら暮らしに取り入れやすそう。ほっとひと息つきたいときに、体調のケアをしながらティータイムが楽しめるなんて理想的かもしれません。
「ハーブの効能って1日、2日程度ではわかりにくいんです。数週間や数カ月と長期的に気長に続けてほしいですね。そしてよくなったらすぱっとやめる。ハーブは自分の体本来の力を整えてくれるので、その力が戻ってくれば、お休みして大丈夫。自分の不調を自分で手当てできる、心と体両方のお守り。それが私にとっての植物療法なんです」
お手当てにハーブを使う際の注意点
個人差があります
植物の作用や効用は個人によって異なります。また季節や体調などの環境の変化によって、同じ人が使っても反応に差が出る場合があります。
子どもや高齢者は分量を減らしましょう
ここで紹介したお手当て法は、健康な成人を対象としています。子どもや高齢者に使う場合は体調を見極めながら、分量を減らすなど工夫してください。
妊娠中は医師に相談しましょう
妊娠中、あるいは妊娠の可能性がある人が使う場合、注意が必要なハーブがあります。ふだんは問題ないものでも体の変化が大きい妊娠時にはまず医師に確認を。
無農薬のハーブがおすすめです
できれば無農薬のハーブを使うのがおすすめ。気になるときは重曹水に30分ひたし、よく洗い流しましょう。
精油を使うときはパッチテストを
精油を使用する際は事前に必ずパッチテストを行うこと。ごく少量をキャリアオイルで希釈して肌の柔らかい部分に塗り、12〜24時間、かゆみや赤みが出ないか様子をみます。
〈監修/南上夕佳 イラスト/はまだなぎさ 取材・文/片田理恵〉
南上夕佳(なんじょう・ゆか)
植物療法士。ルボア フィトテラピースクール副代表。ホルモンバランスをくずしたことをきっかけに植物療法と出合い、日本における第一人者である森田敦子氏に師事。自身の経験を生かし、女性のライフスタイルに合わせたさまざまな療法を広めている。著書に『自然ぐすり生活』(ワニブックス)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです