(『天然生活』2020年7月号掲載)
自家製ハーブを料理やドリンク、テーブルコーディネートに
「自宅の庭や街の景色にみずみずしいグリーンが彩り始めると、夏の訪れを実感します」と話すフラワースタイリストの増田由希子さん。季節に応じて花を楽しむことは、もはや生活の一部。日に日に蒸し暑さが増すこの時季は「さわやかさ」を意識します。
自家栽培のハーブがいつも以上に活躍するのも夏ならでは。料理に使うのはもちろん、テーブルに飾ったり、デトックスウォーターをつくったり、はたまた小さなブーケにして来客に贈ることも。
「ハーブのすがすがしい香りがそばにあると、気持ちがリフレッシュします。とくに摘みたてのフレッシュミントティーは、とびきり爽快で夏に最適です」
おいしいものとお花の組み合わせは至福そのもの
自称「食いしん坊」の増田さん、料理は自宅近くの畑で育てた多種多彩の野菜が主役で、お菓子づくりは本を出すほどの腕前。丹精込めた料理やお菓子に合わせてテーブルフラワーをあしらい、ときにはお皿に野菜の花を散らして、食のシーンも「お花」で彩ります。
「私の先生は『花は暮らしとともにある』という信念の下、料理や掃除など生活全般を大事にする方でした。その教えは私の中にずっと生きています。何より、おいしいものとお花の組み合わせは私にとって至福そのものなんです」
思いのままに花や草木をアレンジして、そのさわやかな表情と香りに、そしておいしいものに元気をもらって。心も体も満たされる増田さん流の夏への備え、ちょっとまねしたくなりませんか?
増田由希子さんの夏支度
ハーブを植える
育てながら目で楽しみ、料理にも使えるハーブは、蒸し暑い季節に清涼感を運んでくれる存在。増田さんは、春から初夏に新しい苗を植えます。
「自分で栽培すれば食べるのも安心だし、惜しみなく使えます。寄せ植えに向かないハーブもあるので、1鉢1種類に。育てやすいパセリやバジルのほか、クリーピングタイム(写真右)はお花もかわいくて、卵やトマトの料理にも合うんですよ」
増田由希子さんの夏支度
保存食をつくる
育てた野菜や、大好きな果物を保存食に加工して、旬のおいしさを閉じ込めます。
「にんにくのしょうゆ漬けは、にんにくをレンジで1分加熱して、しょう油にひたすだけ。アメリカンチェリーのピクルスはきび砂糖と白バルサミコ酢、クローブで、玉ねぎのピクルスは米酢と水、砂糖、粒こしょう、ローリエでピクルス液をつくり漬け込みます。酢漬けは食べるとスッキリして、元気も出ます」
増田由希子さんの夏支度
モクテルを飲む
フルーツとハーブを使ったカクテル風ドリンク「モクテル」が少し前からマイブーム。おいしくてビタミン補給にもぴったり。
写真はピンクグレープフルーツとライムをしぼって、エルダーフラワーのコーディアルと炭酸で割ったもの。グラスに浮かべたクリーピングタイムの芳香が涼やかなアクセントに。
「色がとってもきれいで香りもフレッシュ。お客さんにお出ししても喜ばれます」
〈撮影/有賀 傑 取材・文/熊坂麻美〉
増田由希子(ますだ・ゆきこ)
花教室の講師や展示会などの装花を行うほか、インスタグラムで発信する花のスタイリングも人気。著書に花とお菓子の楽しみを提案した『花とお菓子』(立東舎)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです