行き場のない猫たちを、新しい家族が見つかるまでの間自宅でお世話をする「猫の預かりボランティア」。小禄広海さんは、鎌倉と逗子の境にあるちいさな港町でお菓子づくりをする傍ら、保護猫活動の一環として「猫の預かりボランティア」を行っています。広海さんがお世話をする“預かりっ子”たちとの日常をつづった「ねこおば日記」。今回は、暑さで心配な外の子と、預かりっ子たちの近況をお届けします。
ご近所さんからの相談
野良猫にご飯をあげていたお爺さんを見かけなくなった......
こんにちは。まだまだ暑いですね。こうも暑いと外の子達も心配です。
そう、外の子達といえば。最近、ご近所さんから相談を受けまして。その方は愛護センターから13歳だけど、もっと歳上に見える、ぶさかわの猫を家族にした珍しい人(褒め言葉)で、地域の外猫に詳しい。
そのご近所さんいわく、近くの野良猫が最近ご飯をもらえていないのか、痩せてしまい、ご飯をあげていたお爺さんも見かけなくなってしまったのだという。そして以前そのお爺さんから、私がいつも活動を共にしている人と知り合いだと聞いたので相談してみたとのこと。
そこで、知り合いに確認をすると、お爺さんは春に猫を自宅に迎えるため、捕獲器を借りたものの、最近亡くなっていた。
パートナーがいらっしゃるけれど、ご飯はたぶんあげたりあげなかったりになっているらしい。ちなみにそこはマンションの敷地内でご夫婦は住人。ほかにも猫たち(そこに現れるのは2匹らしい)を気にかけている住人がいるから、なんとか生き延びているようだ。
マンション側と、お世話をする住人
マンション側は餌やりをよく思っておらず、お爺さんはずっと揉めていたとのこと。いまは猫と人は共生するもので、単純に猫に餌やり禁止という主張は不適切とされ、動物虐待にあたるという見解さえあるにもかかわらず、批判の目を気にしてしまうから、こっそりあげてその場を去ってしまう人がいる。トイレも気にかけられたら、なおよいのだけれど。
本当は食べ終わるまで見守って片付けないといけないのに。さらに避妊去勢、体調はもちろん、トイレも気にかけられたらなお良いのだけれどこの件は、今はまだ調整中。
どちらにも言い分はある。意見が違う人間同士、まず共生が必要ってことか。
話がうまくまとまらなかった場合、保護する可能性もあるが、うちのスペースにも限りがある。そのためにも今いる子の家族を決めたい。
最近の“預かりっ子”たちのこと
今いる子というのは、前回話題にしたママ。あのあと、決まらなかったママと息子がうちに来た。ママは想像以上に野良気質だ。毎日わたしは怒られている。
当初、できたらママと息子は同じお家に、なんて思っていたのだけどママが慣れるまで待っていたら息子が婚期を逃し、しかもマザコンのまま人慣れしなそうだったので、高速道路で保護されたハーちゃんという子と一緒に息子は最近先に卒業した。
ずっとのお家は素敵で安心。とはいえ、お届けの日、シャイなふたりは最初、実の兄妹みたいに肩寄せ合って緊張していたのだけれど、それもまた可愛かった。
一方、ママはというと、全く消えた息子を探さないし、最近は息子が近づいてもシャーとか言っていたので子離れは完璧。鼻が黒くて友人がコアラみたい、って言ったからコアとうちでは呼んでいる。ちなみに卒業した息子はカンガルーのカンでした。
というわけで、どこかに奇特な方で、最初は毎日シャー言われても、そこに猫がいてくれたら幸せ、年単位でお近づきになれればいい、って人いないかな。
一応最近は、ちんたらしてないで早くご飯をちょうだい! とかの会話はしてくれるし、コアは時間はかかるけれど、絶対に家猫になれる子。
焦りたくはないけど、1匹決まればまた1匹迎えられるから、外で大変そうな子を何とかしたいと思う今日このごろでした。
ほんとうの家族をみつけた“預かりっ子”たち
春先に捨てられて我が家に来た子たち。ほんとうの家族をみつけて幸せになっています。
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小禄広海(おろく・ひろみ)
幼少の頃からお菓子作りが好きで、Bakeromi(ベカロミ)という名前で活動中。現在は鎌倉、材木座にあるカフェに毎日お菓子を納める傍ら、猫の預かりボランティアを中心に保護活動もする、バタバタな毎日。来世はやはり家猫になりたい。
インスタグラム@catladyorock、@bakeromi