• 世界を旅してハーブやスパイスを探し求める、野草研究家の山下智道さん。アジア7か国を訪れ、たくさんの風変りでエキサイティングな植物たちと出会いました。本記事では、『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社)より、台湾で出会った、アイスクリームのような味の果物「アテモヤ」をご紹介します。

    日常生活のなかに薬草がうまく溶け込む国、台湾

    画像1: 日常生活のなかに薬草がうまく溶け込む国、台湾

    天然生活webの連載「山下智道のハーブ&スパイス紀行」でもおなじみ、野草研究家の山下智道さん。

    新刊『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社)では、タイやベトナムなどアジア7か国を訪れ、出会ったハーブやスパイスを紹介しています。

    台湾が大好きで、これまでに10回は訪れているという山下さん。

    台湾で必ず訪れるのは、台北の龍山寺にある青草巷(あおくさこう)。

    ヨモギ、ドクダミ、タンポポなど日本でもなじみ深い野草たちがワイルドに並べられていて、観察するのがとても楽しいのだそう。

    台湾では、日常生活のなかにも薬草が溶け込んでいて、仙草ゼリーやオーギョーチなど、身近な食べものに薬草をうまく取り入れていたり、台北最大の問屋街・迪化街(てきかがい)では、乾燥した生薬がずらりと並んでいるのだとか。

    本記事では、山下さんが台湾で出会った植物のなかから、甘くてアイスクリームのような味わいの果物「アテモヤ」をご紹介します。

    画像2: 日常生活のなかに薬草がうまく溶け込む国、台湾

    ねっとり甘い! 森のアイスクリームともいわれる「アテモヤ」

    アテモヤ
    Annona × atemoya │バンレイシ科バンレイシ属

    画像1: 台湾で出会った、アイスクリームのような味の果物「アテモヤ」/野草研究家・山下智道さん

    樹高3~10mになる半落葉性の樹木。多数の果実がくっついた大きな集合果になり、表面は緑色でたくさんの突起がある。割ると黒く細長い種子を含む真っ白で柔らかな果肉が現れる。

    画像: カットされて売られているアテモヤ

    カットされて売られているアテモヤ

    台湾の果物市場ではたいていシャカトウと一緒に並べられており、見た目がよく似ているので取り違われることがある。それもそのはず、アテモヤはシャカトウとチェリモヤを掛け合わせてつくられた交雑品種で、台湾では「鳳梨釋迦」(パイナップルとシャカトウの意)と呼ばれる。

    画像: アテモヤ(左)とシャカトウ(右)

    アテモヤ(左)とシャカトウ(右)

    果肉はねっとりとして、とても甘いため『森のアイスクリーム』とも呼ばれる。凍らせて食べるとまさにアイスクリームさながらである。

    私も台湾の夜市でカットされたアテモヤがあれば必ず購入し、食べ歩くのが好きだ。

    カルピスにカスタードクリームを加えたような甘さと酸味が非常においしい。

    ※ 本記事は『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社)からの抜粋です。


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    ▼台湾の薬草、そのほかの記事はこちら(山下智道さんのweb連載より)

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    『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社・刊)

    画像2: 台湾で出会った、アイスクリームのような味の果物「アテモヤ」/野草研究家・山下智道さん

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    野草研究家・山下智道がアジア各地を旅して出会った風変わりでエキサイティングな植物たちを写真で案内する、新感覚のスパイス・ハーブ図鑑。

    ネパール、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、台湾、韓国の7つの国で親しまれている香辛料、香草、薬草、野菜、果物、藻類などを、現地での様々な用途や日本で見られる近縁種とともに150種以上紹介。

    植物を使った料理や製品、旅情あふれるマーケットや野山の風景も満載。



    画像: ねっとり甘い! 森のアイスクリームともいわれる「アテモヤ」

    山下智道(やました・ともみち)
    1989年、北九州市生まれ。生薬・漢方愛好家の祖父の影響や登山家の父の影響により、幼少から植物に親しみ、卓越した植物の知識を身につける。現在では植物に関する広範囲で的確な知識と独創性あふれる実践力で高い評価と知名度を得ている。国内外で多数の観察会、ワークショップ、ハーブやスパイスを使用した様々なブランディングを手掛けている。TV出演・著書・雑誌掲載等多数。主な著書に『ヨモギハンドブック』(文一総合出版、2023年)、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社、2023年)、『なんでもハーブ284』(文一総合出版、2020年)、『野草と暮らす365日』(山と渓谷社、2018年)などがある。



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