• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、9月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「梨の白キムチ」です。

    梨の薬膳的効能ついて

    水分たっぷりの梨は、肺を潤し、渇きをいやし、のどの炎症や渇いた咳などに薬効があるとされます。体の余分な熱を取って冷やす性質のため、残暑の厳しい時季に食べるのに最適です。

    また、酒毒を取るとされ、二日酔いの解消にも有効です。

    キムチにすれば、生きた植物性乳酸菌がとれるので、腸内環境を整える効果も期待できます。

    【発酵食】梨の白キムチのつくり方

    画像: 【発酵食】梨の白キムチのつくり方

    とうがらしがたっぷり入ったおなじみのキムチと違って、水キムチは辛味が少なく、漬け液が澄んでいる白いキムチ。

    梨や野菜、そして米のとぎ汁に含まれる糖分をエサにして、乳酸菌が繁殖することで乳酸発酵し、穏やかな酸味とうま味たっぷりの漬物になります。

    さっぱりとした味わいと涼やかな見た目は暑い日にぴったり。一般的なキムチと違って熟成期間が短く、手軽につくれるのも魅力です。

    ここでは梨ときゅうりを合わせていますが、にんじんやパプリカ、セロリなど、好みの野菜にアレンジしても。漬けた液もおいしいので、私は骨付きの鶏肉と一緒にスープにしたり、冷やしたそうめんの汁としてよく利用しています。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 梨1個
    ● きゅうり1本
    ● にんにく1片
    ● しょうが1/2片
    ● 赤とうがらし1本
    ● 米のとぎ汁2カップ
    ● 塩12g(米のとぎ汁の3%)
    ● 米酢大さじ1/2

    つくり方

     梨は皮をむいて4等分にし、いちょう切りにする。きゅうりは4cm長さに切り、太いものは縦半分にする。赤とうがらしは種をとって半分にちぎる。にんにくは薄切り、しょうがは皮をむいてせん切りにする。

     鍋に米の研ぎ汁と塩を入れて中火にかけ、ひと煮立ちしたら火を止めて冷ます。

     熱湯消毒した容器に、米酢を入れ、常温で1日おく。冷蔵庫に移し、好みの酸味になったら食べられる。

    画像: 1回目の米のとぎ汁には、ごみが含まれていることもあるので捨てて、2〜3回目のとぎ汁を使う

    1回目の米のとぎ汁には、ごみが含まれていることもあるので捨てて、2〜3回目のとぎ汁を使う

    ※冷蔵庫で10日ほど保存可能。
    ※ゆでたそうめんを皿に盛り、梨の白キムチをのせる。煮干しだしと合わせた梨の白キムチの汁をかけて、薬味を散らしていただく。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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