体当たりで身に着いた、仕事と暮らしの両立
作家スタートから2年ほど経ったころでしょうか、それまで販売していたオークションサイトを卒業し、自身のネットショップを持つことにしました。
同時に雑誌取材や委託販売、イベント参加など身に余るたくさんのお引き合いをいただくようになり、洋服の販売もとても好調でうれしい悲鳴をあげていたのですが、同時に困ったことも起き始めました。
終わりの見えないハードな製作状況に、だんだんと暮らしのリズムがくずれていったのです。
夢中になると、ほかが見えなくなってしまう性格の私。仕事が軌道に乗るのと比例するように、家のことはどんどんとおろそかになっていきました。
家事に手が回らず夫に迷惑をかけたり、幼い娘から「もっと遊んで!」と文句が出たり。自身の体調管理もそっちのけだったため、急に体調をくずしてお客様に迷惑をかけてしまったことも……。
それは、「暮らしを整えること、自分の体調管理も仕事のうちなんだ」と、身をもって理解させられた機会でもありました。
そこで、思い切って「食べる、寝る、家を整える」が第一になるように、生活を切り替えていったのです。
たとえば、朝一番に掃除、洗濯、晩ごはんの下ごしらえなど家事の8割を済ませ、食材は質のよいものを計画的に宅配でまとめて買う。家族が集う休日や、子どもが家に帰ってきてからは、仕事はきっぱり「しない!」を心がける……。
すると不思議なことに、家のことが整っていくにつれ、仕事の効率もみるみるアップしていったのです。
ちゃんと寝て食べているからか集中力も続き、ミスもぐんと減る。整理整頓ができているので、無駄な探しものもなくなり(多動気味な私、それまでは一日のうち少なくとも1時間は探しものに費やしていた気がします)、苦手だった在庫管理も苦にならなくなっていきました。
〈写真・イラスト・文/美濃羽まゆみ 構成/山形恭子〉
美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
服飾作家・手づくり暮らし研究家。京町家で夫、長女ゴン(2007年生まれ)、長男まめぴー(2013年生まれ)、猫2匹と暮らす。細身で肌が敏感な長女に合う服が見つからず、子ども服をつくりはじめたことが服飾作家としてのスタートに。
現在は洋服制作のほか、メディアへの出演、洋裁学校の講師、ブログやYouTubeでの発信、子どもたちの居場所「くらら庵」の運営参加など、多方面で活躍。著書に『「めんどう」を楽しむ衣食住のレシピノート』(主婦と生活社)amazonで見る 、『FU-KO basics. 感じのいい、大人服』(日本ヴォーグ社)amazonで見る など。
ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
インスタグラム:@minowa_mayumi
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