• 服飾作家として、日常を心地よく過ごせる手づくり服や小物をさまざまに提案している美濃羽まゆみさん。服をつくり始めネットショップで販売するようになると、やがて即完売してしまうほどの人気に。がんばってつくっても買えない人がいる……。終わりの見えないゴールに疲弊してしまった美濃羽さんがたどり着いた新たな道とは?

    走れども走れども、見えないゴール

    それでもやはり限界はあるもの。

    大人服をつくり始めて3年ほど経ったころです。当時、ネットショップでは皆さんに広く公平にご購入いただけるように、私が1カ月でつくることのできる最大の在庫をつけて、月に1回、日時を決めてオープンしていました。

    たとえば〇月〇日夜21時の時報を聞いて販売をスタートするのですが、最初のころは1時間ほどでSOLDOUTだったのが、回を経るごとにそれが30分になり、15分になり……。最終的にはたった1分ほどで売り切れとなってしまったのです!

    「本当に売ってるの?」「なぜ買えている人がいるのに私は買えないの?」という怒りとも落胆ともつかないクレームもたびたびくるようになり、驚くやら悲しいやら。

    (当時は光回線も普及途中だったため、お住まいの地域の回線速度やPC操作に慣れているかどうかで明暗が分かれてしまっていたようでした)

    私はというと、皆さんのオーダーに応えたい一心で、早朝から晩まで自分の持てる力の精一杯でこなしていました。

    それなのに、つくれどもつくれども追いつかない。しだいに焦燥感ばかりが膨らんでいき、「どこまでがんばればいいのだろう」と心はすり減り、心身ともに疲れ果てていったのです。



    〈写真・イラスト・文/美濃羽まゆみ 構成/山形恭子〉

    画像2: 効率的でも合理的でもないけれど……

    美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
    服飾作家・手づくり暮らし研究家。京町家で夫、長女ゴン(2007年生まれ)、長男まめぴー(2013年生まれ)、猫2匹と暮らす。細身で肌が敏感な長女に合う服が見つからず、子ども服をつくりはじめたことが服飾作家としてのスタートに。

    現在は洋服制作のほか、メディアへの出演、洋裁学校の講師、ブログやYouTubeでの発信、子どもたちの居場所「くらら庵」の運営参加など、多方面で活躍。著書に『「めんどう」を楽しむ衣食住のレシピノート』(主婦と生活社)amazonで見る 、『FU-KO basics. 感じのいい、大人服』(日本ヴォーグ社)amazonで見る など。

    ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
    インスタグラム:@minowa_mayumi
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