(『天然生活』2023年11月号掲載)
血流改善のカギは“1分運動”の継続
私たちの体には総延長10万kmもの血管が張りめぐらされています。
血管は全身の細胞のすみずみに酸素や栄養を運び、老廃物を回収。そんな血液の流れが滞る原因は主に3つあります。
「ひとつは、体の末端まで血液を運ぶ毛細血管が加齢で減少すること。60~70代になると4割もの毛細血管が消滅するといわれています。ふたつめが加齢で筋肉が減ることで、下半身にたまった血液を上半身に押し戻す働きが鈍くなってしまうこと。そして、3つめは血液がドロドロになることで、血管内に付着する老廃物。血管の壁が厚く硬くなってしまい、血液がスムーズに流れなくなります」
そこで健康な血管を保って血流をよくするために大切なのが、適度な運動・食事・睡眠です。
「とくに運動は、少しでもいいので毎日続けることが重要です。運動することで血管に刺激を与えて活性化し、筋肉量が減るのを防ぐことができます。また、糖質を控えた食事で血液をサラサラにする、質のよい睡眠で自律神経を整えることも、日頃から心がけるようにしたいですね」
1分間エクササイズの注意点
● 毎日やらなくていいので、まずは3週間を目標に
● やさしく、ゆっくり、弱くやる
● 疲れたと感じたら1分未満でも止める
● 全部やってみて、自分に合うものを続ける
立ったままできる血流改善エクササイズ 01
かかと上げ下げ
「第二の心臓」といわれるふくらはぎの血流改善にぜひ取り入れたいエクササイズ。
かかとを上げ下げして刺激を与えるだけと簡単なので、いつでもどこでもできます。バランスが取りにくければ、机などに手を置いてやるようにすると楽にできます。
1 両足を肩幅に開き両手を腰に当てる。
2 その姿勢のまま、かかとを上げ下げする。最初はゆっくり30秒、慣れてきたら1分続ける。
立ったままできる血流改善エクササイズ 02
その場で行進
家事の合間でもすぐできるのが、両手両足を動かして足踏みする「その場で行進」です。
足は床と平行になるくらいまで上げるのがベストですが、無理のない範囲で。力みは禁物なので、軽く手足を動かすイメージで全身をほぐしましょう。
「その場で行進」のやり方
ひじを曲げずに手を大きく振って、太ももは床と並行になるぐらい上げて、その場で1分間行進する。
立ったままできる血流改善エクササイズ 03
こぶしで腎臓もみ
腎臓まわりの筋肉を広くマッサージして硬まった筋肉をほぐすことで、血流を活発にします。
血液の流れがよくなると、腎臓の働きも回復。血液のろ過だけでなく、血圧の調整や赤血球をつくる働きを助けるなどの機能がしっかり働き、むくみも解消します。
1 両足を肩幅ぐらいに開く。グーの形にした両手をおへその高さでわき腹に当て、上下に揺らしてもむ。
2 徐々に両手を後ろへずらし、背中で両手がぶつかるまで、1分かけてもみつづける。
血流と関係の深い「腎臓」のお話
腎臓は体内の老廃物を運んできた血液をろ過してきれいにし、余分な老廃物を尿として排出するという重要な働きをします。
「しかも、腎臓は毛細血管が集まってできている臓器なので、血管や血流の影響を直接的に受けやすいのです。そのため血管年齢が高いと必然的に腎臓年齢も高くなってしまいます」
また、腎臓は不調が直接的な症状として現れにくいことにも注意が必要です。むくみやすい、腰が痛いときは、腎臓機能の低下が影響しているかもしれません。
「腎臓は、背骨と脇腹の間の左右2カ所にあります。その辺りをやさしくマッサージすることで、腎臓周辺の筋肉がゆるみ血流の流れも活発になります。血流がよくなることで、腎臓の働きも活性化するので、不調を解消することができます」
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〈監修/塚田真也 イラスト/須山奈津希 取材・文/工藤千秋〉
塚田真也(つかた・しんや)
柔道整復師・鍼灸師。等持院駅前整体院院長(京都市)。血流をよくする健康情報を発信するYouTube登録者は11万人を超える。著書に『1分で血流はよくなる!』(Gakken)がある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです