(『天然生活』2020年1月号掲載)
‟この時季ならでは” 毎年のお楽しみ、白菜の保存食
保存食の達人でもある、“たまちゃん”こと、たくまたまえさん。
冬になると普通の家では見たことがないほど、大きなホウロウ製の漬け樽が自宅の廊下に並ぶといいます。中身は「白菜漬け」です。
「もともと母がつくっていた料理で、うんと酸っぱい白菜漬けとちくわを酒粕で煮たものがあるのですが、子どものころからその料理が大好きで。自分でもつくりたいと思って白菜を漬け始めました」
さらには、数年前に台湾で食べてすっかり心を奪われたという白菜漬けの鍋「酸菜白肉鍋」にも、この白菜漬けが活躍します。
「そのために白菜を漬けているといってもいいほど。毎年、大きな白菜を8個は塩漬けにしていて、友人を呼んで鍋の会をしています」
発酵が進んだ白菜はうま味が凝縮してスープに最適。今回、教えてくれた牛肉を合わせたうどんは、ちょっぴりエスニックテイストで奥深い味わいです。
保存食をつくり始めたのはいまの土地に引っ越してから。近隣に畑が多く露地野菜も豊富なため、食べきれないほどの野菜を毎日たくさんもらったそう。
生産者の人に教わったり本を見たりして、保存食のレパートリーが少しずつ増えていきました。
都心で生まれ育ったたまちゃんにとって、畑や田んぼに囲まれ、四季折々に旬を迎える野菜や果物に出合うことはワクワクするような新しい発見だったといいます。
そのワクワクはいまもなお更新中。本格的な冬を迎える前に、たまちゃんの保存食づくりはまた続いていきます。
「白菜漬け」のつくり方
大きく育った旬の白菜と塩だけを使った、シンプルな塩漬け。
1カ月ほどおいて、うんと酸っぱくなったものが、たまちゃん好み。
材料(つくりやすい分量)
● 白菜 | 1/2個 |
● 塩 | 白菜の重量の3% |
つくり方
1 白菜は縦4つに切る。保存容器に白菜の白い部分に塩をつけながら、容器の中で根の部分と葉先が交互になるようにして隙間なく入れる。残った塩も入れ、白菜の倍量の重しをのせる。
2 2日後、白菜から上がった水分で白菜全体が浸かっているか確認する。つかっていない場合は水適量を加えて白菜全体がすっかりつかるようにして、重しを半量に減らす。
3 1週間ほどして漬け汁が白っぽくなったら完成。
※冷暗所で1カ月ほど保存可能。
※日数がたつほど乳酸菌の効果で酸味が増す。
※途中でカビが出たら取りのぞきながら様子をみる。明らかに悪臭がするようなら残念ながら失敗なので処分を。
「白菜漬け」を使って
「白菜漬けと牛肉のうどん」のつくり方
酸味とうま味が詰まったスープに牛肉を。
たっぷりのパクチーでアジア風に仕上げて。
材料とつくり方(分量はすべて適量)
1 だしとつゆの素を合わせて温め、ひと口大に切った牛薄切り肉、水けをきってきざんだ白菜漬けを加える。
2 うどんをゆで、1とともに器に盛り、パクチーをのせ、お好みで具入りラー油などを添える。
〈撮影/砂原 文 取材・文/結城 歩〉
たくまたまえ
『たまちゃんの保存食』(マイナビ)が好評。夫のためにつくって公開しているインスタグラム「たま弁」@tama.tamabenのファンも多い。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです