(別冊天然生活『これまでも、これからも 歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2』より)
興味のあることを積極的に取り入れて、毎日が新鮮!
俳優としての仕事に邁進し、ずっと「求められている自分」に、本来の自分を近づけようとしてきた、と手塚さん。
「40代を過ぎ、年齢による衰えを感じ始めたんです。何か自分をキープするために、と出合ったのが加圧トレーニングでした。まじめに10年は続けたかな」
40代、50代はどう見られるかを意識しながら、自分の体と向き合っていたそう。
自分の年齢やおっちょこちょいも受け入れて、全部楽しもう!
そんな折、コロナ禍になりジム通いができず、悶々とした日々が訪れます。
「自宅で椅子を使って筋トレをしたら、転倒しちゃって。自己流はだめね。もうそんな自分を笑いに変えちゃおうって。けがをしてあわてたけれど、ちょっと吹っ切れたのかな。あざの顔にサングラスをかけて、インスタライブをしました」
周囲は驚いていたけどね、と茶目っけたっぷりに笑います。60代を目前に、できないことも受け入れて、自分らしく自然体でいいと気がついたといいます。
いま、健康のために最も心がけているのは、日々の散歩。
「昔は、しみができたらメイクさんに申し訳ない! と日中はなるべく歩かないようにしていたけれど、いまは太陽の下をよく歩いていますよ。多少のしみは、手直ししてもらえばいいやって。年齢を重ねて、だれかに頼ることも、少しできるようになって、それがとても心地いいんです」
食事は日本人が昔から大事にしてきた発酵食品が中心
散歩とともに大事にしているもうひとつは、日々の食事だといいます。
「昔ながらの発酵食が、一番、体に合っていると思います。ごはんに味噌汁、納豆とぬか漬けがあればもう十分なくらい。最近は麹がとくに好きで、自分で『酢麹』をつくっています。あとは、野菜もひとりだとだめにしがちですけど、良質な野菜を扱う店で少しだけ買って、料理をしてみたり。いまの自分に合うことをなんでも取り入れています。やっぱり違うなと思ったら新しいことをすればいい。俳優業も子育ても同じで、目の前にあることに興味をもって夢中になるって、いくつになっても楽しいです」
目標は、なるべく薬やお金に頼らず、ナチュラルに、かわいいおばあちゃんになること。そうして日々の暮らしに夢中になることが、機嫌よく歳を重ねる秘訣なのかもしれません。
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〈撮影/橋本裕貴 取材・文/田中理恵〉
本記事は別冊天然生活『これまでも、これからも 歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2』からの抜粋です
心と体の変化を受け入れながら「いま」を楽しむヒント
いつまでも若々しくいられる秘訣は「いま」を楽しむこと。この本では、歳を重ねるにつれ変化していく心と体を受け入れながら、おおらかに楽しんでいる方々をご紹介。
手塚理美さん、德田民子さん、フジコヘミングさん、広瀬裕子さんなど17人の、暮らしの楽しみ方や工夫、働き方。悩みはつきない、若返る食べ方やレシピ、栄養のこと、お金のこと、大切な思い出や心の整理術などについてもたっぷり掲載しています。
手塚理美(てづか・さとみ)
俳優。1961年生まれ。小学生のころからジュニアモデルとして活動し、中学1年生で芸能界デビュー。『ふぞろいの林檎たち』をはじめ、多くのドラマや映画に出演。ふたりの息子の独立後に俳優業を再開し、2021年に映画『メイド・イン・ヘヴン』で主演を務める。