• 人と話すとき、何を話したらよいか分からなくなってしまったり、会話が続かなくて困ったりしたことはありませんか? 日常会話を楽しむには、とにかく相手に興味をもって、それを表に出すことが大切です。国語講師の吉田裕子さんに、会話力を上げる10のヒントを伺いました。
    (『天然生活』2017年9月号掲載)

    日常会話を楽しむ10カ条

    01 相づちの打ち方

    画像: 01 相づちの打ち方

    会話で相づちを打つとき、避けたほうがよいのは、上から目線の評価や皮肉に聞こえてしまう言い方、いかにもおべっかに聞こえる表現、そして話を聞いていないようなワンパターンの繰り返し。

    おすすめは、相づち"さしすせそ"。

    さ → 「さすが」

    し → 「知らなかった」

    す → 「素敵」

    せ → 「センスいい」

    そ → 「そうなんですね」

    目上の人に使うときは、「知らなかった」→「存じませんでした」などと言い換えて。

    02 ありがちな話題をワンランクアップ

    画像: 02 ありがちな話題をワンランクアップ

    何気ないやりとりは「暑い日が続きますね」など、天気の話題が無難だけれど、これだと、「そうですね」で終わりがち。

    一往復で終わらせないためには、「暑い日が続いて、最近、バテ気味なんです」など、自分の具体的な話を交ぜたり、「花粉症の季節ですけれど、ヨーグルトがいいみたいですね」など、ちょっとした豆知識を付け加えたりすると、次につながりやすく、相手にも親切です。

    03 自分の話をするとき

    自分の話をするときに避けたいのは、気づいたら自慢になっているようなケース。

    親しみを感じさせるような失敗談を織り交ぜつつ、かといって自虐的になりすぎないような心遣いを。

    「私はこうしたらうまくいった」というより、「これはこうしたらうまくいった」と主語を事柄にして、“相手に役に立つ情報” や“一般化できる経験談として伝えると、自慢話になりにくくなります。

    04 感情の中心を拾う

    相手に言葉を返すときは、「ふ~ん」と相づちを打つだけではなく、相手が強調している“感情の中心”をうまく拾って、言葉を返してあげるのがおすすめ。

    とくに雑談中など、人は要点をかいつまんで話さないので、だらだら長くなりがち。

    そんなとき、相手の強調ポイントに気づいて、「そっか。いつも早く出勤して、窓を開けてくれてたんだね」などと短く返してあげると、相手に共感が伝わります。

    05 話題に困ったときのSOS

    画像: 05 話題に困ったときのSOS

    人との会話が弾まないときは、"裏木戸に立てかけし衣食住"という言葉を思い出して。

    裏 → 「実はね」という裏話

    木 → 季節の話

    戸 → 道楽(趣味)の話

    に → ニュースの話

    立 → 旅の話

    て → 天気の話

    か → 家族の話

    け → 健康の話

    し → 仕事の話

    衣 → ファッションの話

    食 → グルメの話

    住 → 家の話

    以上をキーワードにすると話題が思い浮かびやすくなります。日頃から話題をストックしておくと便利です。

    06 ほめ方

    相手をほめるときは、なるべく具体的にいうと、気持ちが伝わりやすいもの。

    たとえば相手のネックレスをほめるとき、「素敵ですね」とだけいうと、「いえいえ」……と、一往復で終わってしまうことも。

    そうならないためには、「素敵ですね、そのネックレス。どちらで買われたんですか?」など、疑問形で相手の言葉を引き出すとよいでしょう。

    気づいたときにタイミングよくほめるのもコツです。

    07 忠告・指摘の仕方

    相手に忠告や指摘をする際は、「ご存じかと思いますが」「差し出がましいようですが」など、相手の実力は認めているのだけれど、というクッション言葉を頭につけると角が立たなくなります。

    また、「ここを直していただけますか?」など、語尾を疑問形にすれば相手の意向を尋ねるかたちになり、押しつけがましさが軽減されます。

    伝えるときも強く発音せず、柔らかく添えるようにいうと好印象です。

    08 励まし方

    画像: 08 励まし方

    励ますときに大事なのは、具体的な解決策を理詰めで提示するのではなく、相手に「私はあなたの味方ですよ」「近くで応援していますよ」と共感の気持ちを伝えること。

    そして相手のために時間を割いてあげること。「困ったことがあったらいってね」「私にできることがあればおっしゃってくださいね」とやさしくひと言を添えるほうが、相手に思いやりの気持ちが届きやすくなります。

    09 最初が肝心の“共感力”

    画像: 09 最初が肝心の“共感力”

    人は肯定的なリアクションをしてもらうと、気分がよくなり、話したくなるもの。

    会話が始まったら、まずは相手の話を聞いてきちんとうなずき、共感していることを伝えましょう。

    理解したい、という気持ちが相手に伝わることで良好な信頼関係が築かれ、お互いに盛り上がり、相手を受け入れやすい土台ができます。そのあと、話の本題に入れば、話もまとまりやすくなります。

    10 事前の下調べが肝心

    画像: 10 事前の下調べが肝心

    「準備が9割」という言葉があるように、人と会うときは事前の下調べが肝心です。

    とくに初対面の人と会うときは、事前に相手について、わかる範囲で下調べをしておけば、「さて、どんな話をしたらよいものか」とその場であたふたせずにすみ、会話運びがスムーズに。

    下調べは「あなたに興味があります」という相手への思いやりの表れでもあるので、その気持ちは確実に相手に伝わるはずです。


    〈監修/吉田裕子 取材・文/宇野津暢子 イラスト/松尾ミユキ〉

    吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
    国語講師。東進ハイスクールで古典を指導しつつ、毎日文化センターなどで大人向けの古典講座・エッセイ教室も担当する。担当音声配信Voicy「毎朝古典サプリ」などメディアの発信にも努める。著書に『思いが伝わる語彙学』(KADOKAWA)amazonで見る など。三鷹古典サロン裕泉堂を運営。

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    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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