(『天然生活』2017年9月号掲載)
豊かな表現力を身につけるのための8つのアイデア
01 新聞の文章を観察してみる
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新聞記事、さらにもっというと、大きな新聞記事の各冒頭にあるリード文は、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どんなふうに)が明快。
また、各ニュース記事は、事実をベースにして感情を入れずにまとめられているので、正しい日本語の文章として参考になります。
新聞は記事内容にだけ注目するのではなく、簡潔で美しい日本語の使い方についてもよく観察するのがおすすめです。
02 漢字検定で語彙力アップ
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単純に“漢字が書けるようになるため”ならば、いまはパソコンやスマートフォンの変換機能があるので、漢字を覚える必要性は減っています。
しかし、漢字検定を通して語彙力が上がれば、会話力も必然的にアップ。
多くの言葉に触れ、その意味や派生する対義語、類義語を覚えることで、いままで気づかなかった言葉の魅力に気づくはず。ゲーム的に級のレベルアップを目指すのもおすすめです。
03 読書の幅を広げる
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日本も、戦後のある時期までは、「古典を読んでいないと恥ずかしい」「夏目漱石の『こころ』くらいは読んでおかないと」という流れがあったけれど、いまは、より平易なものがスタンダードに。
その結果、難解な本は敬遠され、過去の名作を知らないまま、というケースが増えています。そうではなく、あえて意識的に、自分の外にある言葉や世界に近づくために、読書の幅を広げてみるとよいでしょう。
04 SNS・日記などを書く機会をもつ
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豊かな表現力を身につけたければ、書く機会を増やすのが早道。
新しい言葉を使うときも、いきなり話すのはハードルが高くても、まず書いてみると書き直しもでき、自分の言葉として取り入れやすいです。
手書きでなくても、パソコンでブログを書く、SNSでメッセージを送るなど、書く手段は増えているので、積極的にどんどん書いて。書く・話すを繰り返すうちに、表現力はレベルアップ。
05 歳時記を手元に置く
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歳時記とは、俳句の季語などを季節や月ごとに分類し、解説や例文を加えた書物のこと。
春の花曇り、夏の蟬しぐれ、秋のつるべ落とし、冬の木枯らし……日本には、その季節ならではの自然の様子を表す美しい表現が数多くあるので、手元に歳時記を一冊用意しておくと、楽しみが広がります。
「いまの季節は何かな?」と折にふれて歳時記をめくってみると、ふだんの暮らしも楽しくなります。
06 お礼状を習慣づける
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何も用事がないときに人に手紙を出すのは、ハードルが高いもの。けれども、人に何かをいただいたり、親切にしてもらったりしたときは、せっかくの機会でもあるので、ぜひ、お礼状を書く習慣を。
人に出す手紙は、メールなどと違って、手紙そのものがプレゼントになります。相手のことを思って選ぶ便箋や封筒の絵柄、さらにはそれらを選ぶ時間も含めて、相手にとってはうれしいもの。
07 言葉のストックメモをつくる
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暮らしのなかで心に響く言葉やフレーズに出合ったら、手帳でもスマートフォンでもよいので、ちょこっと書き記し、言葉のストックメモをつくって。しばらくしてから見返すと、忘れていることも意外に多く、なかなか新鮮。
いまはたくさんの情報を得やすくなった半面、それらがどんどん流れて去っていくのも事実です。メモして記憶に留め、会話で使えるようにすると、いっそう楽しくなります。
08 類義語辞典を活用する
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たとえば、お礼をいうとき、「ありがとうございました、ありがとうございました」などと同じ表現を繰り返すのは美しくありません。
そんなときは類義語辞典を引き、「感謝いたします」や「恩に着ます」などの言い換えの言葉を使うとスマートに。
また、もともとは「拘泥(こうでい)する」という意味をもつ「こだわる」などの言葉も、類義語辞典を引くと「一途に貫く」とポジティブな言い換えができて便利です。
〈監修/吉田裕子 取材・文/宇野津暢子 イラスト/松尾ミユキ〉
吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。東進ハイスクールで古典を指導しつつ、毎日文化センターなどで大人向けの古典講座・エッセイ教室も担当する。担当音声配信Voicy「毎朝古典サプリ」などメディアの発信にも努める。著書に『思いが伝わる語彙学』(KADOKAWA)amazonで見る など。三鷹古典サロン裕泉堂を運営。
● 三鷹古典サロン裕泉堂
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※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです