• 72歳、ひとり暮らしの料理家・足立洋子さん。等身大の暮らしを綴った『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)より、「苦手なことより得意なことを」という心もちと、ふだんの朝食「フレンチトースト」のつくり方について抜粋してお届けします。53歳で夫が急逝、寂しさをいやしてふたたび前を向けるようになった50代、料理家としての活躍の場を広げた60代を経て、70代に突入。老いの不安や悩みを抱えながらも好奇心いっぱいに、ひとり暮らしを前向きに楽しむ足立さんから、生きるヒントをみつけてみてください。

    “好き”をもっと、“得意”をぐんと。楽しめる方が絶対いい!

    何事も、「楽しんで向かわなければ、物事は絶対発展しない」と、わたしは強く思ってきました。

    泣き耐えながら「苦手なことも上手になりたい!」なんて殊勝なことを、そもそも過去一度たりとも思ったことがありません。

    「あ〜わたし、これ苦手なんだ」で、おしまい。

    実はわたし、幼少の頃からピアノを一生懸命(?)やってきたのですが、このお稽古っていうものが非常に嫌い。今も教会でオルガンを弾いたりしますから、ピアノを弾くことは嫌いではありませんが、とにもかくにもお稽古が嫌なのです。

    練習するように母から何度言われても、右から左、馬耳東風。そんなわたしへの母の苦肉の策は、わたしの大好きなお料理と交換条件をつけることでした。

    「この一週間、一度も叱られずにピアノの練習ができたら、週末はあなたのつくりたいごはんを、買い物の食材選びからやってつくっていいわよ」

    母も上手なやり方を見つけたものです。健気なわたしは、それでもお料理をしたくてたまらないので、お稽古を頑張りました。不思議なもので、好きなことに対しては、疑問がどんどんわいてきます。

    「なぜここで炒めるのだろう?」、「なぜこの前はおいしくできなかったのだろう?」。やっているそばから「?」があふれ出して、その「?」を解決するための仮説も、これまたどんどんわき出てくる。

    それでまたその仮説を試してみて、うまくいったり、いかなかったり。無数の「知りたい!」が心の底から生まれてくる。好きなことに向かっているときって、そんな感じです。

    画像: “好き”をもっと、“得意”をぐんと。楽しめる方が絶対いい!

    逆にわたしは、針仕事が大の苦手。子ども服のスナップひとつが取れただけでも、ゴムが切れただけでも、「付け替えるぐらいなら買い替えた方がまし」と思ってきました。

    お裁縫に関しては、残念ながら何の興味も疑問もわきません。洋裁の得意なひとならきっと、端切れを見ただけで、あれこれ作品のアイデアが思い浮かぶのでしょうね。

    〈朝はこんなものを食べています〉
    ふだんの朝食「フレンチトースト」のつくり方

    フレンチトーストと野菜サラダ

    画像: フレンチトーストと野菜サラダ

    冷凍しておいた好みのパンを主役に、野菜を添えてときどき果物。飲み物は牛乳を摂取するためのカフェオレが定番。

    フレンチトーストにはメープルシロップはかけず、卵液に甘みを加えて、焼きたてに有塩バターを。サラダは、サラダミックスがあれば盛るだけで完成します。

    ドレッシングを入れた木製ハンドルの器は、お友達と一緒に買ったお気に入りです。

    歯ごたえよりも、食べやすさ。年齢を重ね、食感を楽しむより、歯に負担の少ない食べ方を選ぶようになりました。

    大好きなパン屋さんでまとめ買いして冷凍しておいたパンドミを、甘く、柔らかくして、パンの耳までおいしくいただきます。

    材料(2食分)

    ● 食パン(4枚切り)2枚
    ● A
    ・牛乳1カップ
    ・溶き卵2個分
    ・砂糖大さじ1強
    ● サラダ油少々

    つくり方

     ボウルにAを入れ、泡立て器で混ぜ合わせる。

     バットにを1/2量入れて食パンを並べて浸し、残りのを上からかける。ラップをして冷蔵庫でひと晩寝かせる。

     フライパンにサラダ油をひいて、を1枚のせ、ごく弱火で6~7分焼く。裏返してフタをし、さらに6~7分焼く。好みでバターやメープルシロップ、コンフィチュールを添えていただく。

    ※残った1枚は保存容器に入れ替えて、翌日の朝食に。

    画像1: つくり方

    本記事は『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)からの抜粋です

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    『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)

    『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)|足立洋子 (著)

    『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)|amazon.co.jp

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    人生の新しいステージで、前を向くためのヒント集
    53歳で夫が急逝、子どもが独立してひとり暮らしになった料理家の足立洋子さん。喪失と向き合いながら、寂しさを癒やし、ふたたび前を向けるようになった50代。料理のスーパー主婦として出演した『あさイチ』(NHK)で大ブレイク、活躍の場が一気に広がった60代。そして72歳の今、気力ががくんと衰える「70代の壁」に直面。自分の気持ちを引き上げるのは自分しかいない! と奮起する足立さんの日々の食事や家事には、ごきげんをつくり出すヒントが満載です。料理をするのがおっくうな日も手軽に作れる簡単レシピや、日常の中に新たな楽しみを見つける心がまえ、家族や周囲の人との付き合い方……等身大の魅力にあふれたライフスタイルを一冊に。



    〈撮影/山田耕司(扶桑社)文/遊馬里江〉

    画像2: つくり方

    足立洋子(あだち・ひろこ)
    料理家。1951年生まれ、北海道函館出身。自由学園最高学部卒業。雑誌『婦人之友』の読者が集う、「全国友の会」で、料理講師を四十年以上務め、2011年にはNHKの情報番組『あさイチ』で料理のスーパー主婦として出演。自身がモットーとしている“かんたんおいしい”料理を多数紹介し、大好評を博す。以降、講習会のみならず、書籍や雑誌、テレビやWebなどのさまざまな媒体で、料理が苦手な人の食卓を助ける手軽でおいしい料理を伝え続けている。
    インスタグラム:@hirokoa1208



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