• 支える、支えられる。そんな線引きをすることなく、人が混ざり合う場所。気づけばいつも、その中心には温かな料理がありました。今回は、料理家の枝元なほみさんに、“助ける料理”のレシピ「いりこ入りの万能酢」と、「紫玉ねぎのピクルス&こまごまピクルス」を教わります。
    (『天然生活』2024年2月号掲載)

    助ける料理

    「チームむかご」としては、生活者と生産者の距離を近づけるための農業支援やフードロス削減活動、発生から12年となった東日本大震災の被災地への支援をしてきました。

    連載を始めたことから関わりが生まれた、ホームレスの人々のサポートを軸とするNPO法人「ビッグイシュー基金」では、いまや共同代表という立場に。

    どこかに困っている人がいたら一緒の場に立ってともに考える、そんなふうにできたらいいな」

    枝元さんはそんな気持ちで動いてきました。

    入院を経験したこともあり、改めて、“食べ物がもつ力は大きい”と実感した枝元さん。

    「入院中、元気を削がれてしまう気分になったのは、やはり食事でした。病院のごはんは、それぞれの病に応じて考えなくてはいけないし、大量につくらなくてはならないから、厨房はとても大変だとはわかっているのだけれど、すぐに“娑婆のごはん”が懐かしくなっちゃって」

    恋しくなったのは、特別なものではなく、いつも食べているなんでもないごはん

    「私の退院後、今度は友人の体調が悪くなって。何か差し入れを、ということになり、私はがぜん、張り切りました。体の調子が悪いとき、何を食べたくなるかは、ちょうど実感したばかりだったから」

    間に立った別の友人に、あれもこれもと託しました。『酢の素』と呼んでいる、使いまわしの利く甘酢を中心にしたら、「まさにドンピシャ、食べたかったもの」と喜ばれました。

    「すっきりした酸味、素材のシャキッとした歯触り、ひと粒でグッと旨みを感じる発酵パワーなどが、ごちそうだったんですね」

    「いりこ入りの万能酢」のつくり方

    画像: 「いりこ入りの万能酢」のつくり方

    「こういうのが食べたかったのよ〜」と、友人にとくに喜ばれました。

    「ただかけるだけ、あえるだけで使えるのがよかったのかな」

    材料(つくりやすい分量)

    <エダモトの酢の素>
    ・米酢500mL
    ・きび砂糖大さじ7
    ・グラニュー糖大さじ6
    ・塩小さじ5
    ● 小さめのいりこ(食べるいりこ)50g

    つくり方

     ボウルにエダモトの酢の素の材料を入れ、砂糖が溶けるまでよく混ぜ合わせる。

     保存瓶にいりこを入れ、かぶるくらいの酢の素を注ぐ。1~2時間後から使用可能。

    ポイント

    いりこだけを具として使ったり、だしの出た甘酢は水などで薄めて酢のものにしたり、油やしょうゆを足してドレッシングなどにしたり。

    茶碗によそったごはんに、いりこごと酢をかけて、残ったおかずをのせればひとり分の即席混ぜ寿司のでき上がり。食欲のないときでも、酢飯だとなんとなく食べられます。

    ここではレンジで加熱したキャベツにかけました。

    「紫玉ねぎのピクルス&こまごまピクルス」のつくり方

    画像: 「紫玉ねぎのピクルス&こまごまピクルス」のつくり方

    いりこ入りの万能酢でつくれる小さなおかず。

    冷蔵庫にあるだけで心強い、体にやさしいかわいい常備菜。

    材料とつくり方(つくりやすい分量)

    紫玉ねぎのピクルスは、紫玉ねぎ(適量)をくし形切りにして清潔な容器に入れ、上記のいりこ入り万能酢と水を半々に混ぜたものを、ひたひたに注いででき上がり。

    こまごまピクルスは、使いかけのにんじんや、きゅうり、パプリカやセロリなどを1cm角くらいに細かくきざんで、同様に漬けておく。

    画像: ピクルスは、ごはんと混ぜれば簡単なお寿司に。「疲れているときに、目も楽しくなるような一品が簡単につくれる喜び」

    ピクルスは、ごはんと混ぜれば簡単なお寿司に。「疲れているときに、目も楽しくなるような一品が簡単につくれる喜び」

    ポイント

    玉ねぎの酢漬けの健康効果を知って、取り入れています。

    紫玉ねぎでつくると食卓に色を添えることができるので、こまごまピクルスとともに、うちの常備品となりました。



    <料理・スタイリング/枝元なほみ 撮影/川村 隆、浅野一哉 取材・文/福山雅美>

    枝元なほみ(えだもと・なほみ)
    劇団の役者兼ごはん係、無国籍料理店スタッフを経て、料理家に。つくりやすく、オリジナリティあふれるレシピで人気となり、雑誌、テレビ、書籍など多岐にわたって活躍。https://mukago.stores.jp/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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