(『天然生活』2021年3月号掲載)
ベランダ・軒先で始めるプランター菜園
底面給水のプランターを使って野菜によい環境づくりを
プランター栽培は、野菜を育てる身近な手段。現在は畑を構える竹内孝功さんも、プランターを併用しながら自然菜園を続けてきたそうで、「容器選びや土の入れ方など、最初の準備がとても大切」とポイントを語ります。
水はけがよく、しっかり根が張れて、水と養分がたくわえられるような、少しでも畑に近い環境にすることが、伸び伸びとした成長につながるのです。
「そのためにまず、プランターは深さがあって、底面吸水のタイプを使ってください。野菜が水を下から吸い上げるから、地植えに近い環境になって水のあげすぎや土の乾燥が防げます。水やりが簡単になるうえ、養分も流れ出ないし、重さがあるからプランターが倒れにくく、底に水があるおかげで地面の熱も伝わりにくい。いいことばかりなんですよ」
土の入れ方は、種類を混ぜて多層構造をつくるのがコツ。
通常のプランター栽培では、同じ土を使って翌年も栽培をすることは難しいとされていますが、竹内さんは病気が出たとき以外、土を入れ替えたりせずに使いつづけるといいます。
「プランターでも、相性のいい野菜同士を植えるのが基本です。庭同様に、冬の間はねぎを植えておくことで、土の状態改善を図っていきましょう」
4〜5月
「土を準備する」
プランター栽培でいちばん重要なのが、土を混ぜて入れること。
下から順に、腐葉土と赤玉土(1対1)→*野菜用の土26L+バーミキュライト・ゼオライト各ひと握り→*にバットグアノ100〜200g。
上は5cm空ける。
「その日に植える」
準備ができた土にたっぷり水をあげ、30分ほど落ち着かせてから、その日のうちに苗を植え付け、支柱を立てる。
ミニトマトのすぐ隣にチャイブを植えるのが、病気予防のポイント。
ハーブの香りもミニトマトの虫除けになる。
6月
「脇芽を摘み、枝を整える」
ミニトマトの花が咲き始めたら、わき芽を摘み、枝を支柱に整えていく。
肥料は実が付いてから発酵油かすを土の上に与える。
その後は月1回のペースで追肥(虫が出たらあげすぎなので取り除く)。
6〜7月
収穫スタート
イタリアンパセリとチャイブから収穫。
チャイブは、花が咲く前に根元から2〜3cmを残してハサミで切ると、また伸びてくる。
バジルは頭頂部から使う分だけ少しずつ収穫し、ミニトマトは赤くなった実から収穫する。
11〜12月
「片づけて、表面に土を足す」
野菜は根っこを抜かず、ハサミで切り取り、葉や茎を5cmぐらいに刻んで土の上に敷きつめる(病気の場合は、根から抜いて処分)。
その上に腐葉土と野菜の土を混ぜたものを1〜2cmほどのせて、たっぷり水をかける。
12〜3月
「チャイブを株分けし、ねぎを植えて冬を越す」
チャイブを株分けし、根付きのねぎを植えて、冬を越す。翌春は連作障害を避けるため、ミニトマトなどナス科の野菜以外を栽培しよう。
この土の状態ならば、キャベツやブロッコリーを植えるのがおすすめ。
<監修/竹内孝功 イラスト/小春あや 構成・文/石川理恵>
竹内孝功(たけうち・あつのり)
自給自足Life代表。20年以上にわたり自然農法を実践。『1m²からはじめる自然菜園』(学研プラス)、『コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』(家の光協会)などの著書を持つほか、自然菜園教室を主宰し、現在はオンラインセミナーも展開中。https://shizensaien.stores.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです