(『天然生活』2021年4月号掲載)
自然がくれた家庭医薬品「はちみつ」
のどが痛んだらペロリ、眠れない夜にペロリ、火傷にひと塗り。
『ひとさじのはちみつ』の著者・前田京子さんは、日々の暮らしのあらゆる場面で、はちみつの力を借りてきました。
そのおかげで家族全員健康そのもの。
「いつ風邪をひいたのか覚えていないくらい」と胸を張ります。
「ふだんの体調不良や体力づくりに、はちみつは幾通りにも役に立つんです。だから、はちみつを常備しておくということは、大げさではなく、家にちょっとした薬局があるようなものなんです」
栄養素のかたまりで、体の燃料となり、免疫力を高め、不調を正す働きもあるといわれているはちみつ。その実力について「自然がくれた家庭医薬品」と前田さんはたとえます。

『ひとさじのはちみつ』『はちみつ日和』など、はちみつの本を出版している前田京子さん
殺菌力があり、ビタミンやミネラルなど栄養もたっぷり
ではいったい、何がそんなにすごいのでしょう。
「どうやってつくられるかに秘密があります。
みつばちたちは野山を飛び回って栄養豊かな花みつや花粉などの素材を選んで集め、巣に詰め、羽であおぎふたをし、せっせと手仕事を加え、発酵させてできるのがはちみつなんです」
そう、はちみつは何を隠そう発酵食品。各種ビタミンやミネラル、酵素、抗酸化物質の宝庫なのです。
「真菌や細菌に対する殺菌力もめっぽう強い。悪玉菌をやっつけて、善玉菌を増やしてくれる。それはまさに‟美味なお薬”なのです」
はちが手間ひまかけてつくった甘くておいしいお薬、みつばちに感謝しながらいただきましょう。

はちみつができるまで
採った花のみつは、さまざまな工程を経て、「はちみつ」になります。
その過程はまさに「手仕事」です。

1 はちみつづくりは材料となる花のみつを集めるところからスタート。巣から約2km圏内で採取。

2 運んできたみつを巣に持ち帰り、吐き出して唾液の酵素と混ぜ、それを受け取る係のはちに渡す。

3 受け取ったはちはそれを巣の穴に詰め込む。

4 はちはその前で羽ばたいて水分を飛ばし、みつを濃縮させる。

5 十分に濃縮されたら、みつろうでフタをして数日熟成させる。

6 完成したみつをはちは自分たちの食料とする。人間もこの段階で採取。

はちが手間ひまかけてつくった甘くておいしいお薬、みつばちに感謝しながらいただきましょう。

次回は、体によいはちみつの選び方や効果的な使い方などをご紹介します。どうぞお楽しみに!
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▼前田京子さん「はちみつの力、発酵の力」記事一覧
〈監修/前田京子 イラスト/堀川 波 取材・文/鈴木麻子〉
前田京子(まえだ・きょうこ)
手づくり石けん、ナチュラルボディケアの魅力を世に広めた『お風呂の愉しみ』(飛鳥新社)の著者。持ち前の研究体質を発揮し、はちみつの探求も。著書に『ひとさじのはちみつ』『はちみつ日和』(ともにマガジンハウス)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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