
夫 秀光さん
1955年生まれ
北海道出身。農家の3代目で、1999年に5戸10人の仲間で農事組合法人を立ち上げ、定年延長して68歳で退職するまで農家として働いた。東京に移住してからは、家庭菜園で様々な野菜づくりを楽しんでいる。DIYも得意
妻 久子さん
1953年生まれ
北海道出身。夫・秀光さんとともに農事組合法人に参加。「ずっと農家だったから、最期まで農家だと思っていた」そう。二世帯住宅で義母が料理上手だったため料理はほとんどしたことがなく、様々なレシピに挑戦中
次女 絢子さん
1984年生まれ
北海道出身。大学卒業後、就職のため上京。結婚後、世田谷区内の社宅に住んでいたが「緑が多い場所で子育てをしたい」と、2021年に八王子に引っ越し。テラスハウスをリノベーションし、夫と6歳の長女と暮らしている
お金のこと、健康のこと
畑や家を処分し、安心できる生活を手に入れた
▼前回までのお話はこちらから▼
定年後に北海道から東京・八王子へ移住、天井さん夫妻の“近居”ストーリー
まだまだ働き盛りだった60歳前後に、「体が元気なうちに......」と、東京への移住を決意した天井さん夫妻。
当時、夫妻は農業に従事していましたが、移住となると仕事を一切手放すことになり、金銭的な不安も出てきます。
引っ越すにはどのくらいの費用が必要で、東京での生活にはいくらかかるのか。
夫妻は、すべて自分たちで計算したそうです。
「仕事については、農事組合法人にして、畑は会社に貸して小作料をもらう形になっていたので、そのまま買い取ってもらうことに。6~7割を売却して、残り5ヘクタールくらいは今も貸しているので、その賃料が入ってきます」と秀光さん。
二世帯住宅は無事に売却でき、住宅ローンも完済。退職金も受け取れたし、農協や農事組合法人に出資していたので、そのお金も戻ってきました。
移住を決めてからはよりいっそう貯蓄に励み、約2000万円のテラスハウスをキャッシュで購入。

北側外観。テラスハウスのため西側(右手)の壁を隣家と共有しているが、南側にも北側にも庭があるのが魅力。天井さん夫妻は1年以上かけて、ようやくこの物件を手に入れた。テラスハウスとは隣地の建物とつながっている住宅のことで、連棟住宅、長屋とも呼ばれる
リノベ費用は、およそ1200万円でした。おまけに、北海道で墓じまいも済ませてきたそうです。
東京での生活費については、夫妻は厚生年金に加入していたので、ほぼ年金でまかなえているとか。
秀光さんは持病がありますが、病院が近くなり通院もラクに。今は夫妻ともに元気で、庭仕事を楽しんだり、孫の面倒を見たりしています。

畳敷きのリビングは孫たちが遊びに来たとき、みんなが集まってくる大人気のスペース。相撲好きの秀光さんは、場所中は午後4時になるとテレビの前の座椅子でスタンバイ
「年を取ったら、田舎暮らしは難しいかもと感じていました。今なら車の運転もできますし、子どもたちの役に立つうちに東京に来られてよかったと思っています」(秀光さん)

ダイニングからは見えないキッチンの壁面には、料理のレシピがたくさん貼られたコルクボードや薬の飲み忘れを防ぐお薬カレンダーが。すぐに見えるようにしておくことがポイント、と久子さん

南側の窓から日差しがたっぷり入る2階の寝室。北側にはWICを備えており、壁面には市販の家具を配置。「掃除が大好き」という久子さんのおかげで室内はいつもすっきり!
※ 本記事は『relife+ vol.51』(扶桑社)からの抜粋です。
<撮影/星 亘(扶桑社) 取材・文/松浦美紀 取材協力/EcoDeco>
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