• さまざまな薬効があり“万能薬”と呼ばれるヨモギ。沖縄に暮らすかわしまようこさんに、古くから日本に自生する身近な植物で、暮らしを豊かにする方法を教えてもらいました。
    (『天然生活』2020年8月号掲載)

    ヨモギを摘んで、心と体を整える

    “自分の体を整える草を、自分で摘む”。

    現代人は忙しく、ゼロから何かをつくるということが、とても贅沢な時間になっています。

    しかし、病気や体の不調を整えるときに大切なことは、“自分のことを大切に思う”その気持ち。

    そんな気持ちにこたえるために、道端でよく見かける身近な植物「ヨモギ」を使ったお手当てを、自分の手で摘むところから始めてみませんか。

    画像: 重ならないようにざるに広げて半日陰で乾かす。手で触って、パリッと乾いたら、袋に入れて湿気ないように保存を。茎を束ねてハンガーなどに干してもよい

    重ならないようにざるに広げて半日陰で乾かす。手で触って、パリッと乾いたら、袋に入れて湿気ないように保存を。茎を束ねてハンガーなどに干してもよい

    意識して見てみると、さまざまなところに生える「ヨモギ」。

    ヨモギといえば、和菓子などが思い浮かびますが、実は、たくさんの体の不調に効く、万能薬でもあるのです。

    食べて、飲んで、塗って、香って……いろんな方法で、わたしたちが健やかに過ごすためのお手伝いをしてくれるでしょう。

    草を摘んでいると気づきます。世界に同じものはふたつとないことを。

    大きさや形、色や味など、同じヨモギでも生えているところですべて違います。

    よく見て、触れて、味見をして、元気がもらえそうなヨモギを摘んでください。そうやって五感を働かすうちに、本来の心身が蘇っていきます。

    お手当てやお料理で使い終わったヨモギは、「ありがとう」の気持ちを伝えて土に返しましょう。

    またいつの日か芽生えて、再びわたしたちをいやしてくれるはずです。

    ヨモギについて

    画像: 葉の色が濃く、摘んだときにさわやかな香りのあるものほどよい

    葉の色が濃く、摘んだときにさわやかな香りのあるものほどよい

    キク科ヨモギ属の多年草。日本に約30種あり、河原や田畑、庭先などに自生。春に芽吹き、1mほど成長して秋に茶褐色の花を咲かせる。

    ヨモギの主な効能

    デトックス・浄血作用

    ヨモギの不溶性食物繊維やミネラルが、便秘の解消を促し、有害な物質を体外に排出。

    温める作用

    血液がサラサラになることで血行促進。中医学では肝・腎・脾を温め、冷えに作用するといわれる。

    貧血予防

    葉に含まれるクロロフィルが腸内環境を整え、ヘモグロビンの生成を助けて造血作用を促す。

    美肌効果

    β–カリオフィレンが女性ホルモンに働きかけ、PMSや更年期障害を緩和し、肌を美しくする。

    止血効果

    “止血のビタミン”と呼ばれるビタミンKにより、葉の汁が傷などの止血薬になる。

    リラックス効果

    香りに含まれるシオネールには、脳神経を鎮静化させる働きがあり、質のよい睡眠を促す。

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    〈文/かわしまようこ 撮影/大城 亘〉

    かわしまようこ
    沖縄在住。2000年より雑草にまつわる活動を開始。教室の開催や、雑草を生かした商品を制作。著書に『草と暮らす』(誠文堂新光社)など。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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