• 日本とデンマークを行き来しながら、ヨーロッパの手仕事の魅力を伝えてきたユキ・パリスさん。ワインのように成熟し、自分を深めていく生き方について、お考えを伺いました。
    (『天然生活』2024年5月号掲載)

    自分を磨きつづければ、年月の重なりは喜びに

    ご両親の教育のおかげか、人から学ぶことはあっても、くらべることはしない。

    子どものころから人は人、自分は自分という感覚で生きてきたユキさん。

    外から日本を眺める時間も長かったこともあり、日本ならではの特殊な感覚に疑問をもつこともありました。

    「一部の日本人は『未熟なかわいらしさ』にとりつかれているところがありますね。若さに固執して、かわいらしく、万人に好かれようとする傾向がある。でもそういう考えは、できるだけ早く手放したほうがいいのではないかしら」

    画像: 「アートブックは重いから手放す方もいますが、私には心の栄養で必要なもの」。こちらは大切なゴシック建築の写真集

    「アートブックは重いから手放す方もいますが、私には心の栄養で必要なもの」。こちらは大切なゴシック建築の写真集

    ヨーロッパは「若さ」よりも「成熟」に重きを置きます。

    知性の有無や、楽しい会話ができるかどうか、人とは違う何かをもっているか、問われるのは人間性。どんな人間でありたいか、どういう人に認められたいか。

    理想の自分の姿を思い描くことも大切です。

    そうして生きていく社会では、「だれにでも好かれること」をよしとする価値観は、どこか不自然に感じられます。

    「スタイルをもち、自分を磨きつづけていれば不思議なことに、同じような価値観をもつ人と出会えるようになっているのが人生です。数は少なくても、そういう人々とは深くゆっくりつきあえます。大切なのは、昨日より今日、今日よりも明日の自分が、少しでもいい人間であるように、時間を重ねていくこと。『あすなろ精神』があれば、暮らしはいくらでも工夫できますし、そういう思いがあれば、歳を重ねていくことは、喜びでしかないのです」

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    〈撮影/Anders Bøggild 取材・文/田中のり子〉

    ユキ・パリス
    1945年京都生まれ。70年の大阪万博勤務後、結婚を機に渡欧。北欧を中心にさまざまな展覧会の企画、監修を手掛ける。2002年京都にミュージアムショップ「ユキ・パリス コレクション」をオープン。



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