食べられる野草「スベリヒユ」
こんにちは。山下智道です。今回は「スベリヒユ」のお話をしたいと思います。
世界各地に生育し、日本全土でも見ることができるスベリヒユは「食べられる野草」としてもおなじみ。
東北地方ではスベリヒユを干して保存食にする文化があり、乾燥させたスベリヒユが道の駅などで売られています。
独特のぬめりと酸味があるのが特徴で、オメガ3脂肪酸であるαリノレン酸を含み、強壮作用などもあることから、近年ではスーパーフードとしても注目されています。

フランスのパリで見つけたスベリヒユ
モロヘイヤやオクラのような感覚で楽しめる
粘りと酸味のあるスベリヒユは、オカワカメやツルムラサキのような、どことなく「土っぽい風味」があり、ほうれん草を少し濃くしたような味がします。
乾燥させたスベリヒユは、炊き込みごはんの具にしたり、油揚げと一緒に煮たり、ナムルにするのがおすすめ。
生のスベリヒユは少しゆがいて、納豆と混ぜて「スベリヒユ納豆」に。炒りごまをふりかけて食べるとおいしいです。
モロヘイヤやオクラのような感覚で使えるので、スベリヒユを刻んで、そうめんやそばの薬味にしても。
きれいな緑色で、テリーヌなどに彩りを添えたいときにも役立ちます。

ギリシャのアテネで見つけたスベリヒユ。エジプトやギリシャではヨーグルトにスベリヒユを入れてサラダに
スベリヒユの効能や使い方について
スベリヒユは、強壮作用があり、やる気や活力を与えてくれるといわれています。
全草が「馬歯莧(ばしけん)」という生薬になり、消化吸収のバランス調節の整える働きがあることから、腸炎などにも処方されることもあるようです。
お茶にして飲めば、体にこもった熱を取ってくれるので、暑い時季におすすめ。
抗菌作用や消炎作用が期待できるので、アルコールに漬けてチンキにすれば虫刺されやスキンケアに役立ちます。
粘りがあり保湿力が高いので、植物油に漬けて保湿クリームにすれば、乾燥した肌を潤します。

スベリヒユの保湿クリーム
Purslane
スベリヒユ(滑莧)について
分類:スベリヒユ科スベリヒユ属
学名:Portulaca oleracea L.
世界の熱帯から温帯にかけて幅広く分布し、日本全土で見られる1年草。
多肉質で乾燥耐性があり、畑や路傍、アスファルトの隙間など日当たりの良い所に生育する。
次回はスベリヒユのお茶をご紹介します。どうぞお楽しみに!
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山下智道(やました・ともみち)
薬草研究家。福岡県北九州市出身。登山家の父のもと幼少より大自然と植物に親しみ、野草に関する広範で的確な知識と独創性あふれる実践力で高い評価と知名度を得ている。国内外で多数の植物観察会・ワークショップ・講座を開催。
著書に『ヨモギハンドブック』(文一総合出版) amazonで見る 、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社) amazonで見る 、『野草と暮らす365日』(山と渓谷社)amazonで見る など多数。
近著に『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』 amazonで見る がある。
●公式サイト「野草研究家 山下智道」
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