• 料理研究家・横山タカ子さんのご自宅を訪ねると、最近、夢中になっているもののひとつ「ポタジェ」を見せてくれました。ポタジェとは、野菜と一緒に草花やハーブなども楽しむ家庭菜園のこと。「長年の夢」と語る横山さんの、ポタジェで過ごす豊かな時間を拝見します。

    息子夫婦の転居でかなった「長年の夢」

    信州各地を訪ねて見聞きした郷土料理をベースに考案する、食材の持ち味を活かす家庭料理が人気の横山タカ子さん。

    手を動かし、日々を楽しむ「趣味暮らし」を旨とする横山さんがいま、夢中になっているもののひとつが、「ポタジェ」なのだとか。

    「昨年、息子夫婦が近所に越してきたことをきっかけに、思いがけず近所に100坪ほどの土地を手に入れたんです。ここを息子が畑にしてくれたので、『ポタジェ』と呼んで、足しげく通っています」

    画像: こぼれ種から育ったルッコラを摘んで

    こぼれ種から育ったルッコラを摘んで

    じつは、早起きが苦手だったという横山さんですが、「長年の夢だった」畑を得てからは、毎朝5時には起床し、もんぺ姿で出かける日々に。

    栽培する品目もほうれん草、ルッコラ、オクラになす……と日ごとに増え、この1年でずいぶん賑やかになりました。

    「もともと、ウオーキングやトレーニングなど、意識しての『運動』は好みではないんです。けれど、畑に来て無心で手を動かしていると、自然と身体も温まり、心もいやされて。食だけでない、たくさんの恵みをいただいています」

    画像: 天に向かってすくすく伸びるオクラ。「固くなりすぎてしまったので、種をとって来年に備えます」

    天に向かってすくすく伸びるオクラ。「固くなりすぎてしまったので、種をとって来年に備えます」

    農薬や化学肥料に頼らずに自然の力を生かして栽培

    山野の恵みを愛し、調味料も伝統的な製法のものを厳選。

    そんな料理が信条の横山さん、ポタジェでも天然素材を生かした栽培を実践しています。

    「まず、どっさり本を買って学んだんです。土の養分は、生ごみを稲わらと混ぜたコンポストを中心に。虫対策には焼酎にお酢、トウガラシなどを混ぜた天然の忌避剤『ストチュウ』をつくっておき、気になるとふりかけています。これは、アブラムシなどにも効果絶大です」

    画像: 豊かに茂る、横山さんの「ポタジェ」。「あくまで素人ですから、完璧は求めず楽しむことをいちばんに。室内を彩る四季の花も、ここでずいぶん得られるようになりました」

    豊かに茂る、横山さんの「ポタジェ」。「あくまで素人ですから、完璧は求めず楽しむことをいちばんに。室内を彩る四季の花も、ここでずいぶん得られるようになりました」

    画像1: 農薬や化学肥料に頼らずに自然の力を生かして栽培

    さらに、作物同士の組み合わせで虫や病気を防ぐ「コンパニオンプランツ」もすでに実験済みなのだとか。

    「きゅうりとねぎ、なすとねぎ、落花生とそばにはトマトを植えると良いとも知り、試してみました。比較がないのでわかりませんが、おかげでいずれもよく育ちましたよ。ポタジェですごす時間は、農家のみなさんのご苦労を知るとともに、自然の不思議を体験するきっかけにもなっていますね」

    画像2: 農薬や化学肥料に頼らずに自然の力を生かして栽培

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    天然生活2025年12月号では、横山タカ子さんの「秋の実り豊かな食卓」を紹介しています。小豆のおいしさをシンプルにいただくごはん、秋の根菜の煮ものなど、寒さに備えて体と心を整えるレシピが満載。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。

    天然生活2025年12月号(扶桑社・刊)

    画像: 思いがけず手に入れた「100坪の土地」を念願の家庭菜園に。毎朝5時起き、夢中で手を動かして楽しむ畑仕事/料理研究家・横山タカ子さんの趣味暮らし

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    〈撮影/山川修一 取材・文/玉木美企子〉

    横山タカ子(よこやま・たかこ)
    長野県大町市生まれ、長野市在住。長年にわたり信州各地を訪ね歩き、郷土料理や行事食の取材を重ねる。野菜たっぷりのシンプル料理や、「さしす漬け」をはじめつくりやすい保存食のレシピが定評。「趣味は暮らし」と、四季のしつらいや和装、手仕事のセンスにもファンが多い。別冊天然生活「横山タカ子さんの和のある暮らし」(扶桑社)が好評発売中。
    インスタグラム@takakoyokoyama_sasisu



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