セルフケアを15年重ねたら、家もセルフケアスポットに
こんにちは、写真と文の七緒です。今年も残りわずか、2025年はどんな一年でしたか。
鎌倉山の麓に佇む「光と緑の家」は、今年もさまざまな人に遊びに来ていただきました。香りや絵のワークショップ、お店に変身したことも。

親子向け絵のワークショップをひらきました

セルフケアアイテムが並ぶ「光と緑の店」
この家は同じ町内の人も存在を知らないほどひっそり佇んでいます。道路に面しておらず、ご近所さんの家に囲まれた集落の”おへそ”。だからか訪れる人は心をひらいて、くつろいでくれる感があります。
15年間セルフケアを重ねたら、家もセルフケアスポットになっていった。何でも情報で確認できる時代だからこそ、空間に身をおき、五感を満たす心地よさをこれからも分かち合っていきたいです。
「庭」と「暮らし」がめぐる心地よさ
今回から2回に分けて、セルフケア視点の心地よい住まいについて書いていきます。
さまざまなセルフケアの知恵がありますが、家を心地よくすることに勝るものはないと思います。だって家は暮らしの土台。部屋がぐちゃぐちゃなのに、ハーブティーを飲んでも、心は忙しないままかもしれません。
私にとって心地よい住まいとは、庭と暮らしがめぐりあっていること。
鳥のさえずり、ハーブの澄んだ香り、朝露のきらめき…。庭という自然にふれることで、肩の力が抜け、そして暮らしに役立てる面白さは語り尽くせないほど。
では具体的にどんなことをしているでしょう?
「庭」と「暮らし」の循環3つのヒント
①庭で育み、食卓に並べる

以前も紹介しましたが、庭で野菜を気ままに育てています。夏はトマトにきゅうり、冬は人参と大根。自給自足にはほど遠いのですが、それで全然良いのです。
日の光を浴びながら種を蒔き、やわらかな土にふれ、収穫する。泥のついた野菜を洗って食卓に並べたり、時にみずみずしいままかぶりつくことも。
虫食いがあっても、小さくてもOK。だって個人の営みだもの。庭と食卓がめぐる…そのプロセスそのものに心のまんなかが安心で満ちていきます。
②生ごみはコンポストで土に還す

溜まっていくごみほど、もやもやするものはありません。鎌倉はごみの収集日が少なく、毎日マンションのごみステーションに出せた東京時代が懐かしい…!
でも今年の夏、コンポスト「キエーロ」を導入し、ごみの捉え方が変わりました。
食べ残しや野菜くずをホーローバケツにためて、週1〜2回キエーロへ。微生物のおかげで1週間後にきれいさっぱり分解完了。キエーロで作られた栄養満点な土は家庭菜園へ。

その清々しさったら!
今まで野菜を生ごみとして処理する時、どこか小さな罪悪感がこびりついていました。でも台所で出たものを庭に還し、次の野菜の糧となる。暮らしと庭がめぐる、その健やかさは想像以上に心を軽くしてくれます。
息子の最近の口癖は「これは土に還る?」。幼い頃から、コンポストのある暮らしが当たり前になったらいいなあ。
③自然の恵みをおすそ分け。お金を介さない“ギフト”

庭で採れた橙をクライアントに、季節のハーブブーケを手土産に。お金を介さない「おすそ分け」に、あたらしい心地よさを感じています。
庭で育み土に還すのは「家」と「庭」でめぐることでした。加えて、自然の恵みを介して、私と誰かの間でもめぐっていくーー。
おすそ分けを機に会話が弾み、育児のままならなさをぽろっとこぼせたり、レシピのヒントをいただいたり。時に子どもを見てもらうなど、暮らしやすさにもつながっています。あと純粋にワクワクしますよね、おすそ分けって。
* * *
①②③、どれも庭がなくても叶えられます。プランターで野菜も育ちますし、ベランダでできるコンポストもたくさんあります。
「めぐる」を軸にした心地よい暮らし、私も試行錯誤しながらですが、ささやかなヒントになったらうれしいです。
今年の『鎌倉山からのセルフケア便り』はこれでおしまい。みなさん、どうぞ良い年をお迎えください。
〈撮影/星 亘(1~3枚目:七緒) 文/七緒〉

七緒(なお)
写真と文。「毎日も人生も、心地よく」というテーマで、鎌倉山の麓に暮らしながら、心とからだが楽になるセルフケアの知恵を届けている。ラジオ「心地よく聴く、セルフケアジャーニー」も好評。著書3冊、1児の母で、植物療法士としても学びを深めている。
インスタグラム:@naotadachi
Podcasts:心地よく聴く、セルフケアジャーニー
note:https://note.com/naotadachi




