自宅の一部をハーブ療法のクリニックに
一般的に、ハーバリストが活動する場としては、ハーブショップに付属するセラピールームや自然療法クリニックに勤める、もしくは他の療法家とともに運営するという形があります。
また、別の選択肢としては、個人で開業してハーブクリニックを持つ、あるいは自宅の一部にコンサルテーションルーム(診察室)を設けるという方法があります。
ビギータは後者の方で、自宅1階の一部を診察室兼ディスペンサリー(調剤室)にしています。
足を踏み入れると、やさしく光が差し込む窓際にデスクがあり、壁際にはドライハーブの入ったガラス瓶やハーブチンキが並んだ棚が一面に備え付けられています。

ビギータの自宅内にあるハーブクリニック
ハーブ療法に関する書籍も並んでいます。ここで行われるハーブ療法のコンサルテーション(問診)は、ハーバリストがクライアントをよく知り、ハーブを処方するための時間です。
クライアントの話に耳を傾け、60分ほどの時間をかけて向き合い、体に起きていることをさまざまな角度から検証し、一緒に不調の原因を探っていきます。
また、体調管理を助ける食事やライフスタイルへのアドバイスも提案します。なぜ必要なのかという理由をしっかり説明し、実践しやすいレシピなどを提供して、信頼関係をつくり上げていきます。

チンキの並んだ棚
自ら栽培したハーブでチンキをつくる
日本でハーブ療法というとハーブティーをブレンドすることが多いですが、英国ではアルコールベースのレメディ「ハーブチンキ」をよく利用します。
ハーブの有効成分を効率よく摂取できるとだけでなく、長期保存が効く、水に薄めて飲むだけという便利さがあるためです。
ハーブチンキは専門店から購入することもできますが、ビギータはできるだけ庭や近所の川辺、牧草地などから摘んだ植物を使った、自家製のチンキを使います。
ハーブ療法の起こりは身近なハーブを利用した手当てで、身の回りに育つハーブを使いこなすことで体調を整えてきたからです。
自分で摘んでつくることは、ハーブの特徴をよく知る手立てにもなります。何より、新鮮で良質なハーブは香りが高く、効果も期待できます。
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▼石丸沙織さん「英国のハーバリスト」そのほかのお話はこちら
https://tennenseikatsu.jp/_ct/17813948
〈撮影・文/石丸沙織 写真提供/ビギータ・マックガヴァン〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。





