台湾のお寺参りと薬草おみくじ
オープントップバスで台北市内を巡ったときに気になった「艋舺龍山寺(もうこうりゅうざんじ)」のある萬華(ばんか)エリアを散策しました。
「龍山寺」は清王朝時代の18世紀、福建から渡来した人々によって創建された、台北で最古のお寺です。ご本尊の観音菩薩のほか、媽祖(まそ)や註生娘娘(ちゅうせいにぁんにぁん)といった道教と儒教、民間信仰のさまざまな神様が祀られています。

台北最古のお寺「龍山寺」
かつては心の拠り所として参拝者でにぎわい、やがて周辺には飲食店や仏具屋、提灯屋、そして青草(台湾で古くから親しまれている薬草やハーブ)やお菓子の屋台などが立ち並ぶようになったエリアでした。現在も、神様が祀られた香炉の前で熱心に祈りを捧げる人々や観光客が集まり、活気づいています。

さざまな神様が祀られている
台湾の薬草がずらりと並ぶ市場「青草巷」
「青草巷」と呼ばれる小さな薬草市場は、龍山寺のすぐそばにあります。とても小さな路地ですが、創業当時からのものと思われる看板を掲げた100年を超える老舗も多く見られ、台湾で生産、採取された薬草が数百種も取引されているそうです。

フレッシュな薬草が並ぶ青草巷
元々はそれぞれの店主が山に入って採取し販売していたようですが、現在は新鮮な青草は近郊の台湾北部から、乾燥されたものは南部から運び込まれているといいます。
台湾の開拓が始まったばかりのころは医者が少なく、感染症が蔓延しやすい上に栄養不足による病気も多かったため、人々は薬草を頼りに体を守っていました。
龍山寺はそんな時代に人々が訪れた場所で、神様からの「薬籤(やくせん)」(処方箋)を手に、青草の屋台で薬草を買い求めたそうです。
「薬籤」が気になるところですが、お参りすると引ける薬草おみくじのようなもので、漢方薬の名前と分量が記された処方箋になっていました。

フレッシュな薬草が並ぶ青草巷
これらの青草の屋台はやがて西昌街224巷へ集まるようになり、現在の青草巷(路地)ができました。その後、都市計画によって街並みは変わりましたが、この路地はいまも変わらず残っているそうです。

フレッシュな薬草が並ぶ青草巷

ハーブティーにしやすいドライハーブもある
〈撮影/田尾沙織 文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出会いを通して、新しい自分に出会える一冊です。





