• 和紙を使った版画作品を手掛けるイラストレーター・版画家の平澤まりこさんが、京都・綾部へ。アーティストで和紙職人のハタノワタルさんの工房を訪ね、和紙づくりの現場を見せてもらいました。古くから続く「黒谷和紙」の魅力についてハタノさんに教わります。
    (『天然生活』2025年5月号掲載)

    訪ねたところ紙漉キハタノ

    アーティストで和紙職人のハタノワタルさんが主宰する、京都府綾部市の和紙工房。和紙の原料づくりから紙漉き、和紙を使った工芸品や建材の制作販売のほか、和紙空間の設計や施工も手掛ける。

    家族で分業していた谷間の村の和紙づくり

    京都府綾部市黒谷町、自然豊かな山里に構える「紙漉キハタノ」。平澤さんはハタノさんに和紙づくりの現場を案内してもらうことに。

    「紙漉きって、昔はどちらかというと女性の仕事だったんですよ。男の人は薪を拾ったり、漉いた和紙を山に運んで板に貼って天日で乾燥させたり。以前は天日干しでしたからね。黒谷は谷底にあるので、日の当たる山の斜面まで持っていかないとならなかったんです」とハタノさん。

    画像: 和紙アイテムを生み出す加工室。「スタッフとアイデアを出し合いながら、さまざまな製品をつくっています」

    和紙アイテムを生み出す加工室。「スタッフとアイデアを出し合いながら、さまざまな製品をつくっています」

    画像: 工房を案内してもらう平澤さん。加工室の2階は、壁にも床にも土を塗り和紙を貼った、温かみの漂う小部屋に

    工房を案内してもらう平澤さん。加工室の2階は、壁にも床にも土を塗り和紙を貼った、温かみの漂う小部屋に

    古くから続く黒谷和紙の本拠地は、実はここからさらに山の奥。

    「僕もずっとそこの共同の場所で漉いていたんですが、7年前にスタッフも増えたのでここに自分の工房をつくったんです。黒谷の集落は谷間に川が流れている秘境で、田んぼや畑はつくれない。だから、和紙の産地になったんです」

    こうしてできた楮100%の手漉き和紙。やわらかな質感で紙といえども存在感があり、素材や人の手のぬくもりが宿るからか、親しみやすさを感じます。

    画像: 建材用に加工した和紙も美しい

    建材用に加工した和紙も美しい

    画像: 顔料を混ぜていない白い和紙。版画にも使いやすい

    顔料を混ぜていない白い和紙。版画にも使いやすい

    和紙のなかでも黒谷和紙の特徴はこのおおらかな風合い。そして丈夫なところ。

    「どちらかというと土着的で、使う紙なんです」とハタノさん。

    画像: アルミを和紙で包み、耐水加工を施した「敷板」。食器や折敷として楽しめる。和紙の家具や空間の素材サンプルとしても活用

    アルミを和紙で包み、耐水加工を施した「敷板」。食器や折敷として楽しめる。和紙の家具や空間の素材サンプルとしても活用

    「着物の渋札などに使われてきたんですが、お湯につけたり川で洗ったりしても、とにかく強くて丈夫。僕は、そういうざっくり使えるところ丈夫なところにひかれて黒谷に来たようなもんです」

    画像: 和紙の人気アイテム「敷板」の製造工程を拝見。「色に表情があるのは何色も重ねているからなんですね」(平澤さん)

    和紙の人気アイテム「敷板」の製造工程を拝見。「色に表情があるのは何色も重ねているからなんですね」(平澤さん)



    〈撮影/辻本しんこ 取材・文/山形恭子〉

    平澤まりこ(ひらさわ・まりこ)
    イラストレーター、版画家。広告や書籍、パッケージのイラストレーションのほか、近年は和紙を使った描版画という独自の手法を用いた版画作品の制作に取り組む。作品集に『いつかの森』(求龍堂)、著書に『旅とデザート、ときどきおやつ』(河出書房新社)、『ミ・ト・ン』(幻冬舎文庫、小川糸氏との共著)などがある。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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