• 和歌山県で昔ながらの甘くない梅干しづくりを続ける「梅ボーイズ」。リーダーとして活動しているのは、梅農家で育った山本将志郎さんです。甘い味つけの梅干しが主流となり、昔ながらの梅干しをつくる人が減るなか、「1000年後も続く日本の梅文化」を掲げ、梅の魅力を発信しています。山本さんが守り、この先に繋げたいものとは? 梅のある暮らしとともに、その思いを聞きました。

    幼いころから身近にあった梅干しと梅料理

    「子どものころから、しょっぱい梅干しが好きでしたね」

    そう話す山本さんは、和歌山県で代々続く梅農家の生まれ。食卓にはいつも梅干しがあり、お弁当にも当たり前のように入っていたそう。

    「母が料理好きで、豚肉を梅味噌で焼いてくれたり、下味に梅酢を使ったから揚げをつくってくれたり。自然と梅が身近にありました。もちろんいまでも毎日食べています。ごはんと一緒にというより、脂っこいおかずの合間にちょびちょび食べるのが好きですね。口の中がさっぱりするんです」

    画像: 幼いころから親しみのある、昔ながらの梅干し

    幼いころから親しみのある、昔ながらの梅干し

    けれど、山本さんの「当たり前」だった味は、いま、姿を消しつつあるといいます。

    現在、主流になっているのは、甘く食べやすく調味された梅干し。塩分控えめの商品も増え、しょっぱい梅干しは少数派になっているそう。

    「昔ながらの梅干しって、いまは本当に買えなくなってきているんです。生産者の高齢化も進んでいるし、このままだとどんどんなくなっていくと思います。もちろん、甘い梅干しが好きな人も多いです。でも、僕自身は昔ながらの梅干しのほうが好きだし、それを好きな人が全国にも確実にいる。だからこそ、なくしたくないんです」

    梅農家が誇りを持って続けられる仕組みを

    山本さんが掲げるのは「1000年続く日本の梅を次の1000年につなぐ」という大きな目標。

    「自分の代だけ続けばいいということではなく、梅文化そのものを残したい」

    その思いから立ち上げたのが「梅ボーイズ」でした。梅干しづくりだけでなく、SNSやYouTube、Podcastなどを通して、梅の魅力や農業の現状を発信しています。

    画像: 梅の名所・三重県でも梅干し製造をスタート

    梅の名所・三重県でも梅干し製造をスタート

    「梅農家では、自分たちが育てた梅が、どこでどのように加工されているかわからないことも多いんです。でも、それだとつくる側も楽しくない。『これが自分のつくった梅だ』と胸をはって言ってほしい。だから、梅農家がもっと誇りを持って続けられる仕組みをつくりたいと思っています」

    昔ながらの梅干しを残すこと。それは単に「昔の味を守る」というだけでなく、梅農家が続いていける未来をつくることでもあります。

    朝4時から始まる、梅農家の初夏

    収穫期の3週間は、1年でもっとも忙しい時季。山本さんの1日は、朝4時に起きるところから始まります。

    「5時から収穫開始です。熟して落ちた梅を、その日のうちにお客さんに発送するので、朝が早いんですよ。完熟梅は香りがよく、梅干しにすると皮がやわらかく仕上がります。ただ、そのぶん傷みやすいので時間との勝負です。7時くらいからは、本格的な収穫作業ですね」

    収穫した梅は、その日のうちに塩漬けまで行います。

    「夜8時くらいまで作業していることもあります。発送準備や漬け込み作業もあるので、夕飯は9時ごろですね」

    画像: 完熟南高梅、天日塩、赤紫蘇だけで漬ける

    完熟南高梅、天日塩、赤紫蘇だけで漬ける

    画像: 1粒1粒が大きくて食べごたえがある

    1粒1粒が大きくて食べごたえがある

    日常に似合う、昔ながらの梅干しを

    添加物は使わずに、塩だけ、塩と紫蘇だけで梅をつくります

    梅そのものの美味しさ、素晴らしさを伝えることで、本来の梅干しを後世に残します

    これは、梅ボーイズが掲げる「梅ボーイズ宣言」です。

    画像: 1000年後の食卓にも日本の梅文化をつなぎたい

    1000年後の食卓にも日本の梅文化をつなぎたい

    高級な梅干しや変わり種の梅干しではなく、日常に似合う梅干しをつくり続けたい。

    自分や家族が食べてきた、そしてこれからも食べていきたい梅干しをずっと伝えたい。

    山本さんたちがつくる梅干しには、そんなたくさんの思いが込められています。

    * * *

    ▼梅ボーイズの「梅仕事」レシピと関連記事はこちら



    〈写真/梅ボーイズ 取材・文/飯作紫乃〉

    山本将志郎(やまもと・しょうしろう)
    梅ボーイズリーダー。株式会社うめひかり代表。日本一の梅の産地・和歌山県みなべ町の梅農家に生まれる。地元の高校を卒業後、北海道大学薬学部に進学するものの、実家の農園を継いだ兄のひと言を機に梅干しの道へ。幼少期から親しみのある“昔ながらの甘くない梅干し”が製造されなくなっている現状を知り、梅干しの研究を重ね、2018年6月より「本当においしい」と思える梅干しの販売を開始。軽トラックでの全国一周旅のほか、現在はSNSを中心に梅の魅力を発信し続けている。
    https://umenokuni.com/
    X:@_umeboys_1904
    YouTube:@umeboys1904
    Podcast:梅の夜明けラジオ



    This article is a sponsored article by
    ''.