通称“リ本(リボン)” 表紙のアイデアは突然降ってきた!
パリ+リボンの本で、通称「リ本(=リボンと読む)」とも呼ばれている本書。表紙のリボンはなんと本物で、桜井さん自身が結んで撮影したものだそう。
この日、ふたりが「一番話したかった」と声を揃えたのが、この表紙のエピソードでした。

じゃじゃん、これが“リ本”です
桜井:「1冊まるごとディレクションしてくださっているデザイナーさんがいて、表紙もお任せするつもりだったんですけど、本を印刷に回さなければいけないという本当にギリギリのタイミングで、ふーっと降りてきちゃったんです! タイトルが『パリを持って帰ろう』だったので、プレゼントみたいに、お土産っぽくしたいと、私が急にいいだしたんですよね」
「この写真が、私のLINEに急に届いた写真です」と橿渕が紹介すると、会場にはリボンに包まれた本のスライドが表示されます。

桜井:「橿渕さんに電話で伝えるんだけど、本をリボンかひもで包んで……というのがなかなか伝わらなくて。家にあった布とリボンを使って、イメージの写真を送ったんですよね。カバーのデザインはデザイナーさんも考えてくれているから、いうべきか1日悩みました」
橿渕:「1日だけね(笑)」
桜井:「とりあえずやってみましょうという話になったんですけど、リボンが太すぎじゃないかということになり、いろいろな幅のリボンを全部買ってきました。カバーの布には、2年前に蚤の市で買ったお気に入りのテーブルクロスを使うことになって。まさかザクザク切られちゃうと思っていなくて……怖かったですね(笑)」
橿渕:「一度切った布で撮影しようと思ったら『その大きさでは足りません』とデザイナーからいわれて。かおりさん、もう1回切ってもらっていいですか? と無情な言葉をかけてしまいましたね」

無情にも切ることになったお気に入りのクロス
桜井:「リボンを結ぶのを自分ですることになったんですけど、練習で適当に結んだときはかわいくできたのに、いざ本番になったらまったく結べなくなっちゃって。結局最初に結んだものを使った気がします」

撮影風景をスライドで紹介する桜井さん
苦労の末に完成した表紙でしたが、会社の販売部から「パリの感じがまったくない」との指摘が。
「持って帰るというコンセプトはわかるけど、パリ感をもう少し出してほしい」という要望を受け、苦肉の策として帯に小さな桜井さんの写真を配置することになったのだとか。
桜井:「私それ、初めて聞いた! きっと橿渕さんはさみ撃ちだったんですね。おつかれさまでした……」
思わぬ裏話の告白に、会場は再び笑いに包まれました。

表紙のデザインだけでなく、本の紙質や、行間・字体・フォントサイズなど中身のデザインにも、読者への細やかな配慮とたっぷりのこだわりが。
紙のサンプルに納得できず、扶桑社へ何度も足を運んだ裏話も飛び出し、完成した1冊にかけたふたりの愛情と信念が、じんわりと伝わってきました。
渡仏歴30回以上の桜井さんが、パリに魅了される理由は?
イベント後半の質疑応答では、会場のお客さまから「パリの魅力」についての質問が寄せられました。どうして桜井さんは、パリにそんなに魅力を感じているのでしょうか。

話したいことがありすぎて、トークテーマは抽選箱から決めることに
桜井:「パリへの旅は、毎回ドキドキして楽しくて、いつも帰りには『次はいつ行こう?』って考えているんです。これもしたかった、という心残りが必ずあって。それがいまも続いている感じがします。パリは私にとって、生き方や考え方を変えてくれた場所なんですよね。赤い口紅とマニキュアでハイヒールを履いているマダムがいて、すごくおしゃれを楽しんでいる。どうせやるなら何でも楽しもう!という考え方も、パリから学んでいます」

イベントのプレゼントとして用意された「パンのしおり」は桜井さんが描いたもの。本書では初めてイラストにも挑戦した
パリ愛を語り尽くすには、時間が足りない。そんな余韻を残しつつ、「ぜひまた次の機会に!」という言葉とともに、イベントは温かい拍手のなかで幕を閉じました。

制作時のイラストや資料
トークイベントの後は、制作にまつわる資料や橿渕との付箋のやりとりなど、桜井さんが大切に保管していたものを自由に閲覧できるコーナーが設けられ、多くのお客さまが集まりました。



全撮影カットや橿渕のメッセージ付き校正紙など、ここでしか見られない貴重な資料に注目が集まった
サイン会では桜井さんとの会話に涙する方もいらっしゃり、1冊の本を通して温かなつながりを感じる、忘れられない1日となりました。

桜井さんのパリへの旅のときめきが満載の1冊。気になる方はぜひお手にとってみてください。
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渡仏歴30回以上。旅行者の目線で楽しむ、最新パリ旅案内
渡仏歴30回以上、パリを知り尽くした「カフェロッタ」元オーナーでエッセイストの桜井かおりさん。60歳を過ぎて、旅の楽しみ方も少しずつ変化しているといいます。パリに行くと毎回買って帰るもの(持って帰るために日本から持っていくもの)、季節で楽しみにしているもの、お気に入りのカフェやクロワッサン、必ず行くマルシェ、機内を快適に過ごすための工夫、防犯対策、トイレ事情など、桜井さんのリアルなパリ旅を、1冊にまとめました。
桜井さんが撮影したパリの写真は、温かく、やさしい。ページをめくるだけで、しあわせな妄想パリ旅行が楽しめます。そして、きっと、読んでいるうちにパリ旅行がしたくなるはずです。行く前も、帰ってからも、どこにいてもパリを感じられる、「パリを持ち帰る」ための、新しいパリ旅ガイドです。
桜井かおり(さくらい・かおり)
エッセイスト。大手損害保険会社勤務を経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が訪れる。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物の老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行うほか、61歳からパリツアーを再開して大好評。「楽しみは見つけるもの」などをテーマに、全国各地で講演会も行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』『マダム・ロッタとパリ行かない?』(すべて旭屋出版刊)がある。天然生活webでは「桜井かおりの雑記帖“楽しみは見つけるもの”」を連載中。
<撮影/林 紘輝 取材・文/編集部>








