(『天然生活』2014年1月号掲載)
ポン酢 | 11月~
松田のポン酢は薬味いらず 松田美智子
ひと雨ごとに気温が下がり、冬が足早に近づいてくると、いよいよ鍋本番の季節です。
「大好きな鍋をもっとおいしくと考えている方も多いことでしょう。具材を工夫するのはもちろんですが、ポイントはポン酢です。柑橘類のさわやかな風味が生きた手づくりのポン酢でいただけば、いつもの豚しゃぶが、がらりと違うものになるはずです。あるとき、お寿司屋さんから『お客さんに喜んでもらうには、ねたのランクを上げるより、わさびのランクを上げること』と聞いたことがありますが、共通する考え方かもしれません」と松田美智子さんは言います。
毎年、鍋のシーズンに先駆けて、柑橘類の果汁に数種の香味野菜をきざんで混ぜ込み、じっくりねかせて仕上げる自家製ポン酢を仕込みます。
「ポン酢本来のすっきりした味わいに加え、コクと風味を出したいと、あれこれ試して定着したのが、このつくり方です。薬味をきざむのが手間といえば手間ですが、それぞれの香味野菜から少しずついろいろな味が出て、ひとつにまとまる、複雑で奥行きのある味わいが大好きです」
一度、じっくり熟成させてしまえば、あとは適宜、柑橘類の果汁、しょうゆ、薬味をつぎ足していくだけで、シーズンを通して楽しめるのが何よりの利点です。
ポン酢のつくり方
鍋の薬味に、欠かせないポン酢。すっきりとした柑橘類の酸味と香味野菜の個性がひとつになった手づくりポン酢なら、鍋が格段においしくなるほか、ドレッシングや料理にも大活躍です。
材料(つくりやすい分量)
- ゆずの皮 1/2個分
- ゆず果汁 1個分
- すだち果汁 1/2カップ
- みょうが 3個
- ピーマン(種とワタを除く) 2個
- しょうが 1片
- にんにく 2片
- 穂じそ 5~6本
- 昆布 5cm角1枚
- 削りかつお 1/3カップ
- しょうゆ 2カップ
- 酢 1カップ
つくり方
1 みょうが、ピーマン、しょうが、にんにくはすべて、みじん切りにする。穂じそは穂先をしごく。ゆず皮は大きめにそぎ、白いワタの部分をていねいに取る。削りかつおは、だしパックに入れる。
2 1と残りの材料をすべて清潔な保存瓶に入れ、冷蔵庫で保存する。1週間たったらゆずの皮、削りかつお、昆布をとり出し、さらに1週間、冷蔵庫でねかせる。
※ 1週間ほどで使えるようになるが、随時、きざんだ野菜や調味料を足しながら、好みの味のポン酢に育てる。保存は冷蔵庫で2カ月。
<料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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