(『修道院のお菓子』より)
このお菓子は、まだ冷蔵庫という便利なものがなかったころに、修道女たちがあまってしまったミルクで、少しでも長くもつような料理を、と考えたのが始まりだといわれています。
それで、名前は「揚げミルク」。とくに、北の地方でなじみが深く、いまでは、家庭でお母さんがつくるお菓子のひとつです。
つくり方のコツは、生地がかたくなって、もったりし、鍋底から離れるくらいまで火にかけながら練りつづけることです。
Leche frita(揚げミルク)のつくり方
材料(12個分)
● 卵黄 | 3個分 |
● グラニュー糖 | 大さじ6 |
● バター(食塩不使用) | 50g |
● 薄力粉 | 50g |
● 牛乳 | 350ml |
● レモン(国産)の皮のすりおろし | 1個分 |
〈衣〉 | |
・溶き卵 | 1個分 |
・薄力粉、揚げ油 | 各適量 |
〈仕上げ〉 | |
・シナモンパウダー、粉砂糖 | 各適量 |
つくり方
1 卵黄とグラニュー糖を混ぜ合わせる。
2 鍋にバターを入れて弱火にかけて溶かす。薄力粉を加え、泡立て器で混ぜる。弱火にかけたまま牛乳を少しずつ加えて、とろりとしたホワイトソースをつくる。
3 2を火からおろし、1とレモンの皮のすりおろしを加え、混ぜ合わす。
4 再び3を弱火にかけ、こげないように混ぜながら3分ほど練る。もったりとしてかたくなったら、火からおろし、バット(14×18.5×高さ2.5cm)に移す。平らにならし、ラップをして冷蔵庫に1時間以上おき、さらに固める。
5 バットから取り出し、12等分に切り分ける。薄力粉を全体にまぶし、溶いた卵をからめて170℃の油できつね色になるまで揚げる。
6 油をきり、器に移し、シナモンパウダーと粉砂糖をふる。
<撮影/清水奈緒 スタイリング/大谷マキ>
丸山久美(まるやま・くみ)
料理家。東京生まれ。スペイン家庭料理教室「Mi Mesa」主宰。アメリカ留学後、ツアーコンダクターとして世界各地をまわる。1986年からスペインのマドリードに14年滞在。現地の料理教室に通いながら、家庭料理を学ぶ。この間に、修道院めぐりを始める。帰国後、スペインの家庭料理をベースにしたレシピを紹介。著書に『家庭でつくれるスペイン料理』(河出書房新社)、『週末はパエリャ名人』(文化出版局)、『ひんやりスープ』(誠文堂新光社)など。2020年2月に『修道院のお菓子』が扶桑社より復刊。
https://www.k-maruyama.com/