健康と幸福のために、何を取り、何を捨てるのか？ を、日々、真剣に考えている山葉子さんが実践している「整え方」を聞きました。それらを手掛かりに、あなた自身の心地よさを見つけてください。
（『天然生活』2021年5月号掲載）

いつでも安心してリラックスしているために

山葉子さん。5月の木陰のようにさわやかなその笑顔を雑誌などで見たことがある方も多いと思います。

モデル、女優の肩書きですが、このごろはその枠をひょいと飛び越えて……。不安の多い世の中、「こうしたらいいかも」と背中を押すような言葉を紡ぎ出し、SNSで発信。注目を集めています。

願うのは世の中の人それぞれが、自分がご機嫌で幸せであることを最優先して生きられること。自分が幸せならば、ほかの人も幸せにできる。それは、幸せが幸せを呼ぶ満ち足りた世界です。

さあ、準備はいいですか？ 葉子さん流、心と体の整え方の扉を開きます。

「私はいつも安心してリラックスしていることを一番に考えるようにしています。それができてさえいれば、何か大きなことを成し遂げなくても、小さな失敗をしても幸福だと自信をもっていえます。その満ち足りた心が、健やかな体をつくるとも信じています」

「自己犠牲をしてまでだれかに貢献したり、自分の本音を尊重できない仕事に忙殺されたりはしないぞ」と、あるとき誓ったのだそうです。

いろいろな不和に目をつぶり、無理した状態で物事に向き合っていると、心に澱（おり）のようなものが蓄積されていきます。それは、やがて心や脳を停滞させ、体をこわばらせていくと考えます。「とにかく、自分をもっと尊重しないと」と葉子さん。

「みんな、他人には親切なのに意外と自分には不親切ではないですか？ 自分は後回しというか……。もう少し、自分を優先していいと思います」

でも「和を以って尊しとなす」と長年刷り込まれてきた私たち日本人。なかなか難しくないでしょうか。

「そうですね～。では、視点を少し変えて、それそれが自分自身を幸せにすると考えてはどうでしょう？ みんながそう思って行動したら、自然と調和が生まれるはず」と微笑みます。

日々のやり取りのなかで、無理や我慢が生じる場面はいくつもあります。そんなときに、「ごめん、それは無理」と思い切っていってみましょう。こちらが思っているより相手は軽やかに「そうか」と答えてくれるはずです。

そうすると次は自分も相手のNGサインを快く受け入れられるように。その正直なやりとりが信頼関係を深め、よい波動を生み出していくのでは？ そして、自分を信じ、直感力を磨いていくことにもつながるのだと話します。

世界に何か見いだそうとする人は、感性の扉がどんどん開いていく

自分の言葉で語り、導く「メンター」のような葉子さんですが、その役割は子どものころからずっと。

自分の世界を確立していたからなのか、人の相談に乗ることがとにかく多い人生でした。あるときそんな聞き役、指南役の葉子さんの役割をさらに輝かせる出合いが。タロットカードです。

「向いているかも」と独学で引くようになり十数年。いまでは、暮らしのなかで欠かせない存在となりました。

「78枚のカードを相手に会議をするような感覚です。カードを通して空からのインスピレーションを受け取り、それを必要な人に伝えるという感じ」

タロットカードというと、どこか霊的で、特殊なものと感じる人もいるかもしれません。でも、と葉子さんは首を振ります。

「だれもが日々、メッセージを受け取っているはず。たとえば街を歩いていて、今日は赤ちゃんをよく見るなという日がある。それに対して『いま私がいい状態だから見せられているのかな？』って感じる人もいれば、『初心に帰れというメッセージなのかな』って思う人もいるかもしれない」

そんなの思い込みと一蹴する人もいるでしょう。でも「目に映るすべてのものがメッセージ」と思って触れる世界は実にカラフルで豊か。閉じていたら何も生まれません。森羅万象に自分なりの答えを見つけることは、自分を信じる練習にもなると葉子さん。

「その積み重ねで、根拠のない自信が育ち、やがてそれが本当の“大丈夫”につながっていくんです」

自分を尊重し、感性を開く。すぐには無理でも少しずつ。心と体を覆ったもやもやは次第に晴れ、整い、よい呼吸へと導いていってくれるはずです。

〈撮影／砂原 文　構成・文／鈴木麻子　撮影協力／solxsol〉

※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです