(『天然生活』2022年11月号掲載)
脳にエネルギーを送る習慣
おかわりするなら冷やごはんを
糖尿病の人はアルツハイマー型認知症の発症リスクが2〜3倍になるなど、糖質の摂りすぎは脳に悪影響を及ぼします。脳によいものを食べるなら、糖質の多い白米はNG食品。
そうはいっても、日本人の食卓に白米は欠かせません。無理に我慢するのはストレスとなり、かえって脳にはマイナスとなってしまいます。
白米を食べるときは、量を食べすぎず、できるだけ糖質を抑える工夫を。ごはんのおかわりをしたいときは、常温に冷ましてみてください。常温になるとデンプン質の一部が変化し、食物繊維のような働きをします。その結果、糖が吸収されにくくなり血糖値の上昇を抑えます。
脳にエネルギーを送る習慣
ときにはサプリの力を借りる
脳のエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)をつくり出すには、さまざまな種類のビタミンが十分な量必要です。そのひとつでも欠けるとATPが生成できなくなってしまいます。
また、加齢で脳の水分量が減少し、脳が縮むのを防ぐのにもビタミンが必要です。種類も量も豊富なビタミンが細胞に働きかけ、代謝をアップすることで、脳にしっかりと水分を保てるようになります。
ビタミンは食べ物から必要十分な量を摂るのが難しいため、マルチビタミンなどのサプリメントを上手に活用しましょう。サプリメントは添加物の少ない良質なものを選ぶようにしてください。
脳にエネルギーを送る習慣
冷凍保存のシジミを常備する
シジミのプロテインスコアは、卵と同じく100。必須アミノ酸9種類すべてを含み、脳を活性化するオルニチンも豊富です。
オルニチンはアミノ酸の一種で、アンモニアを解毒。解毒の際にできるATP(アデノシン三リン酸)が、脳の神経細胞を活性化するエネルギーとなります。さらに、シジミには脳の神経回路を修復するビタミンB12もたっぷりあります。
冷凍することでシジミのオルニチンの量は8倍になるので、ぜひ冷凍保存して常備を。砂抜きして冷凍しておけば、そのまますぐに味噌汁にしたり、蒸し煮にしたりと調理も簡単。時短料理のお助け食材としても使えます。
脳を若返らせる3つのこと
❶ 脳にエネルギーを送る
高タンパク、高ビタミン、高必須脂肪酸、食物繊維、糖質制限
❷ 脳に刺激を与える
❸ 適度に運動する
「いまはとくに脳に問題を感じないという人も、加齢によっていずれはなんらかの自覚症状が現れます。いまのうちから脳によい習慣を続けることで、若いころのような脳の状態をキープできます」
すでに脳の衰えを感じていたとしても、遅くはありません。
「脳機能の回復はいくつになっても可能です。脳を若返らせて元気を取り戻すためにも、ぜひ毎日の習慣を見直してください」
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〈監修/広川慶裕 イラスト/イオクサツキ 取材・文/工藤千秋〉
広川慶裕(ひろかわ・よしひろ)
認知症予防医。認知症予防専門のひろかわクリニック(京都)、品川駅前MCI相談室(東京)の院長。麻酔科医から精神科医へ転身し、現在は認知症予防の第一人者として予防・早期発見に取り組む。『脳が若返るまいにちの習慣』(サンマーク出版)、『図解でよくわかる 今すぐできる認トレで認知症は予防できる』(河出書房新社)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです