(『天然生活』2022年11月号掲載)
脳を若返らせる適度な運動
エア縄跳びでかかとを刺激する
骨髄から分泌されるホルモンは脳に働きかけて、記憶力や免疫力、生殖力を高めてくれます。高齢者が寝たきりになると認知症を発症しやすいのも、この骨のホルモンの働きが影響しています。
骨から出るホルモン分泌を増やすには骨に刺激を与えるのが有効です。全身の骨に振動を与える運動としておすすめなのが、「エア縄跳び」。縄を使わず縄跳びをするイメージでジャンプすることで、室内でも行えます。目安は1日50回×4セット。かかとを床に打ち付けて、その振動が体中の骨に伝わるようにします。
同じジャンプでも、かかとの振動が全身に伝わらないトランポリンはNGです。
脳を若返らせる適度な運動
足の親指で床をパチンと鳴らす
全身の血流をよくすることは、脳血流アップにつながります。そのために有効なのが、大きな筋肉が集中する足の筋肉を鍛えること。
とはいえ、本格的な筋トレは必要ありません。足の親指を床に打ち付けるという次のトレーニングなら、誰でも簡単に足の筋肉を鍛えられます。
❶ 裸足で椅子に座り、片方の足を前に少し出す。
❷ 出した足の親指をできるだけ上げ、人差し指にこすりつけるようにし、音が出るくらい強く床をパチンとたたく。
❸ 片足10回ずつ行う。
動かすのは親指だけですが、両足各10回で100m歩くのと同じ運動量です。
脳を若返らせる適度な運動
歩くスピードでジョギング
有酸素運動は、脳を活性化する効果があります。なかでも、考えたり記憶したりする機能を司る脳の「前頭前野」は、有酸素運動によって発達します。
日常的に習慣に取り入れやすい有酸素運動といえば、ウォーキングやジョギング。おすすめは、歩くのと同じくらいのスピードで走るジョギングです。このスピードで走ることで、負荷が1・5〜2倍にアップします。
走るときに注意したいのが、足を地面に降ろすときのフォーム。つま先からではなく、かかとから地面につくようにして、その振動を体全体の骨に伝えるようにします。毎日、最低10分、できれば20分ほど続けてください。
脳を若返らせる適度な運動
お出かけ中、歩く速さを変える
「老いは足腰から」といわれるように、老化対策で下半身を鍛えるのはとても大切です。つまずいて骨折し、それをきっかけに脳が老化するケースを防ぐためにも、普段から足腰を鍛えるようにします。
その点、歩くことは全身運動にもなり、下半身を鍛えながら脳に刺激を送るのにぴったり。大切なのは、ぼんやり歩くのではなく、意識的にスピードを変える、いつもと違う道を選ぶなどの「変化」。脳はそういう「ずれ」を察知して、全身にさまざまな司令を出し活発に働きます。
難しいことはしなくていいので、気分次第で早足やゆっくり歩きを楽しんで、歩く運動に脳への刺激をプラスしましょう。
脳を若返らせる3つのこと
❶ 脳にエネルギーを送る
高タンパク、高ビタミン、高必須脂肪酸、食物繊維、糖質制限
❷ 脳に刺激を与える
❸ 適度に運動する
「いまはとくに脳に問題を感じないという人も、加齢によっていずれはなんらかの自覚症状が現れます。いまのうちから脳によい習慣を続けることで、若いころのような脳の状態をキープできます」
すでに脳の衰えを感じていたとしても、遅くはありません。
「脳機能の回復はいくつになっても可能です。脳を若返らせて元気を取り戻すためにも、ぜひ毎日の習慣を見直してください」
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〈監修/広川慶裕 イラスト/イオクサツキ 取材・文/工藤千秋〉
広川慶裕(ひろかわ・よしひろ)
認知症予防医。認知症予防専門のひろかわクリニック(京都)、品川駅前MCI相談室(東京)の院長。麻酔科医から精神科医へ転身し、現在は認知症予防の第一人者として予防・早期発見に取り組む。『脳が若返るまいにちの習慣』(サンマーク出版)、『図解でよくわかる 今すぐできる認トレで認知症は予防できる』(河出書房新社)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです