• 年に一度しか出合えない、旬のもの。少しでも長く楽しみたいなら、保存食にしてみましょう。素材と向き合い、ひと手間かけるのも楽しみのうち。少し先の自分への、うれしいプレゼントです。飛田和緒さんに「栗のシロップ煮」のつくり方と、そのアレンジレシピ「手羽先と栗の甘辛煮」「中華おこわ」を教えていただきました。
    (『天然生活』2022年12月号掲載)

    シロップ煮で、旬の栗を長くおいしく楽しむ

    「もう、早生(わせ)栗が出ていたのよ」

    飛田さんは、うれしそうです。さて、今年もこの時季がやってきました。店頭で出合うたび、毎年のことなのにわくわくさせてくれる栗。

    皮むきは大変だけれど、それが報われるおいしさ。そのままお茶請けにしてもよし、おかずにアレンジしてもよし。栗が出ている間は、せっせとつくりたい絶品です。

    「今年の栗はやわらかいから、煮る時間を短めに」など、毎年続けているからこそわかる細やかな塩梅があります。年ごとに、出合った素材ごとに向き合い方を変えながら、少し面倒にも思えるその手間すらも楽しんで。

    保存食
    栗のシロップ煮のつくり方

    画像: 保存食 栗のシロップ煮のつくり方

    市販のものより甘さ控えめ。この味わいは、自家製ならでは。しっかり脱気しておけば、来年の栗の季節まで、一年中味わえます。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 生栗1kg
    ● 砂糖700g

    つくり方

     栗はさっと洗い、熱湯に30分つけて鬼皮をふやかす。

     鬼皮がやわらかくなったら包丁で鬼皮と渋皮をむき、水につけてひと晩おく(部屋が暖かい場合は冷蔵庫へ)。

     鍋に水けをきったの栗を入れ、かぶるほどの水を入れて強火にかける。沸いたらざるにあげる(一度ゆでこぼす)。

     鍋にを入れ、新たにかぶるほどの水を入れ、中火にかける。沸いたら栗同士がぶつかってくずれないように弱火にし、1時間ほど静かにゆでる。

     栗がやわらかくなったら、ひたひた程度になるまでゆで汁を捨て、砂糖を入れて30分ほど弱火で煮る。火を止め、鍋の中で冷まして味をふくませる。

    *瓶詰めにする場合は、の煮上がりの熱いうちに煮沸消毒した瓶に詰めて脱気する。

    *脱気した状態であれば冷暗所で1年ほど保存可。

    ※脱気の方法はこちら



    〈料理/飛田和緒 撮影/林 紘輝 スタイリング/久保原惠理 取材・文/福山雅美〉

    飛田和緒(ひだ・かずを)
    東京都生まれ。高校時代を長野で過ごす。現在は、海辺の街に夫、娘と暮らす。土地ごとの味と素直に向き合い、日々の食卓で楽しめる家庭料理、保存食をつくり続ける。著書に『季節を味わう保存食手帖』(扶桑社)など。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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