(『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』より)
鶏もも肉のバスク風煮込みのつくり方
バスク地方やナバラ地方の家庭料理「ピペラーダ」は、赤パプリカとピーマンが主役のトマト煮込みです。
そのままで前菜やつけ合わせにすることはもちろん、さまざまな料理のベースにも。鶏肉と煮込むこちらのひと皿は、「バスク風」と呼ばれて親しまれています。
材料(4人分)
● 鶏もも肉(半分に切る) | 2枚(600g) |
● 赤パプリカ、ピーマン(ともに縦1cm幅に切る) | 各2個 |
● 玉ねぎ(みじん切り) | 1/2個 |
● にんにく(みじん切り) | 1かけ |
● トマト(皮をむき、粗みじん切り) | 2個(300g) |
● パプリカパウダー(あればスモークタイプ) | 大さじ1 |
● オリーブ油 | 大さじ1 |
● 塩、こしょう | 各適量 |
つくり方
1 鶏肉は塩、こしょう各少々をふり、オリーブ油を熱した鍋で両面を中火でこんがり焼き、取り出す。
2 続けてトマト以外の野菜を入れて弱火で炒め、パプリカがしんなりしたらトマトを加え、水けがなくなるまで中火で炒める。パプリカパウダーをふり、ひと混ぜする。
3 1を戻し、水1/2カップを加え、煮立ったらふたをして弱火で30分煮(途中で足りなければ水を足す)、塩、こしょうで味を調える。
パプリカパウダーは、乾燥させた赤パプリカを粉末にした、スペイン料理に欠かせない香辛料。特に、スモークしたものは香ばしく、原産地呼称に認定された「ベラ」産は、料理に格別な味わいを与えてくれる。
修道院の肉の煮込みについて
修道院では、肉はぜいたくな食材のひとつ。庭で栽培している野菜と乾燥豆を中心に献立を考えることが主軸となっていますが、家計に負担をかけずに、そして栄養バランスを考慮しながら、肉料理も日々のメニューに加えています。
肉の煮込みは鍋ひとつで簡単につくれるうえに、メインになって体も温まり、シスターたちのこぼれる笑みが見られるうれしい料理です。
なつかしい故郷の味、修道院に代々伝わるレシピを参考にしながら、それぞれのシスターたちのつくる肉の煮込み料理は少しずつ違うものの、どのレシピにもちょっとしたルールが自然に守られています。
まずは肉を焼きつけること。肉汁が出ないようにし、ジューシーに仕上げるためです。
また、ベースになる野菜はしっかりと炒めて、甘みやうまみを引き立たせること。あとは弱火でことことと、おいしくなるのをゆっくり待つことです。
本記事は『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』(主婦と生活社)からの抜粋です
〈撮影/馬場わかな、丸山久美(現地写真)〉
丸山久美(まるやま・くみ)
スペイン家庭料理研究家。アメリカ留学後、ツアーコンダクターとして世界各地をまわり、マドリッドに14年在住。現地の料理教室に通いながら家庭料理をベースとしたスペイン料理を習得し、修道院をめぐって修道女たちから料理を学ぶ。帰国後は、テレビや雑誌などでスペイン料理を軸にした料理を提案。2006 年から東京・杉並区の自宅でスペイン家庭料理教室「mi mesa」主宰。著書に『バスクの修道女 日々の献立』(グラフィック社)、『修道院のお菓子』(扶桑社)など。2023年10月に『修道院の煮込み スペインバスクと北の地方から』(主婦と生活社)を発売。
webサイト:https://k-maruyama.com
インスタグラム:@maruyama_kumi
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スペイン家庭料理研究家・丸山久美さんが、スペインバスクおよび北部の修道院を訪ねて修道女から教わったレシピと、文献からのレシピをまとめた1冊。煮込み料理を中心とした1皿目、2皿目、デザートの献立形式での提案と、単品の煮込み料理を数多くご紹介しています。このほか、修道院の一日の過ごし方や、修道院の台所や食堂、器についての解説と、現地で撮影した写真もたっぷり掲載しています。